新幹線開通記念?映画『約束』の北陸本線風景 [映画・音楽]
北陸新幹線開業とはまったく関係ない北陸ネタを、もうひとつ。
(1・2)寒風吹き荒ぶ冬の日本海沿岸。懐かしい気動車急行が走り抜けます。これは1972年公開のある映画のオープニング・・
(3)
(4)タイトルロールは冬の北陸本線。運転室からのショットが続きます・・
偶然列車に乗り合わせた、わけあり同士の男女の儚い出会いと別れをセンチメンタルに描いたロードムーヴィーです。ロードムーヴィーとは旅=移動する映画、ということですが、冬の北陸本線の車窓が印象的に登場します=日本海縦貫線という言葉もなんだか懐かしい・・
今や縦貫線でも本線でもなく、県ごとの第3セクターにブツ切れですけどね。
これこそプロのフレーミング、勿論スチールとは画面サイズも違いますが、やはり上手いですね。
この辺りって、今でも有名撮影地なんですよね(あ、もちろんCedarは行ってません)
(12・13)車外と車内の温度差がわかる冬の列車の気怠い空気感が上手く表現されてます。こんな汽車旅風景も今や過去の姿ですねえ。
岸恵子は当時でも大女優でしたが、ショーケンこと萩原健一はこの一作で俳優として注目され、ステップアップしていったのでした。
気動車急行の車内で2人が出会うくだりは、実際の車内ロケで撮影されていて、当時の長距離列車の雰囲気が懐かしい!
(17~20)
(17~20)
図々しく馴れ馴れしい男の態度に戸惑う岸恵子の微妙な表情が、美しく捉えられてます。
(21)付き添っている女性(南美江)の表情もいいです。
ちょっと大きな途中駅(直江津かな?)から手錠姿の護送犯(当時人気の2枚目スター中山仁!)が乗り込んで、車内にちょっと緊張が走るとともに、岸恵子が実は仮釈放中の女囚であることが示されます。南美江の監視官は付き添いだったわけです。
(22・23)当時はこんなことがあったのですかね?Cedarは台湾の夜行急行で足枷の付いた護送犯が乗ってるのは見ましたが・・・
(22・23)当時はこんなことがあったのですかね?Cedarは台湾の夜行急行で足枷の付いた護送犯が乗ってるのは見ましたが・・・
(24)男が買ってきた駅弁を3人で食べるシーンなど、ボックスシートならではの微妙な空気感〜
(29)テルハや旧塗装の国鉄バスといった懐かしいものが見えるこの駅って〜あれれ?
国鉄には疎いCedarですが、この駅が何処かは知ってるんです〜、まあ、映画ではよくあることですから。
ずっと後になって、斎藤耕一監督と仕事ご一緒したとき、恐る恐るこの話したら『あははー、ばれたか?』と呵呵大笑〜そんなこと気にするのは鉄ヲタだけさ〜とは言われなかったですが、まあ、映像感覚重視の監督からしればそんなものですよね・・。
(31・32)ひらひらしたコート姿のショーケンもカッコ良く写っていますね。ナガダマ多用はもちろんロケだから=無駄なものを写さないためです。そしてロケが流行ったのはセット造るカネが無かったから。
(33)キオスクの赤電話、雑誌はポケットパンチOh!に漫画アクション〜なんと懐かしい小道具。
この男の素性は、この時点ではさっぱりわからないのですが、マトモではない・・・
(37・38)アーケードの商店街や屋根付きの歩道橋など、高田の雁木ではないものの、北国の地方都市の描写に目がいきます。
その夜、男女それぞれいろいろあって〜
ことほど左様にワケアリの2人のお話、最近の映画みたいにモノローグや科白でなんでも説明しちゃうのと違い、よく見てないと主人公の背負ってる『ワケアリ』の部分がわからないです~でも映画って本来そういうものですよね。
実生活でも、親しい同士でも語らないでおくことが多い、というのはCedarの世代だから?・・・
あ、なんだか鉄と関係ない話に脱線しましたね。
ではまた。
2015-03-21 00:46
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日本海縦貫線をトワイライトエクスプレスに乗って北上したのが、22年前の3月21日。
つまり、今日は「トワイライト記念日」なんです。
あの時の写真や、トワイライトエクスプレスの遺品を眺めながら、懐かしむとともに、哀しみにくれています。
by のり (2015-03-21 07:40)
◼︎のり様
記事中でも書きましたが、日本海縦貫線もいまや3セクでブツ切れ、トワイライトエクスプレスも老朽化〜実はメンテ技術劣化で廃止。
鉄道会社が変質しちゃいましたね。
★hanamura様
★あるまーき様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-21 08:09)
そうか、アメリカのロードムービーは
日本ではレールロードムービーになるんや!
ぜひ見ます!
by 萩原犬一 (2015-03-21 08:51)
ネットワークを活かそうとしないJR旅客各社には期待しません。
頼りになるのはJR貨物ですね。コンテナに入って旅したいです、
日本海縦貫線。
by サットン (2015-03-21 10:00)
日本海縦貫線という言葉はどこか荒れた海を連想させますね。
青森在住時に一回青森から大阪まで日本海に乗りましたが
東海道筋のブルトレと違って駅通過のたびにさゆうに揺れたりしてあまり眠れませんでした。
by Chitetsu (2015-03-21 13:01)
★萩原犬一様
これ、結構好きな映画なんです。1972年キネ旬ベスト5位だったかな?日本海の冬景色に凛と立つ岸恵子さんカッコイイし、宮川泰の音楽もイイです。エロいシーンは無いすけどね。
★サットン様
貨物に隠れて日本海縦貫線の旅!日本版ホーボーですね。イースタンオリエントエキスプレスみたいにJR以外の会社にトワイライトエクスプレス復活を働きかけますか?
★Chitetsu様
日本海縦貫線は当時は裏縦貫線と言ってましたね。単線区間がかなりあったので通過駅で揺れたのでは。冬の日本海のあの雰囲気、列車で味わえないのは勿体無い、トワイライトエクスプレス復活を!
by Cedar (2015-03-21 16:35)
★arail206様
★ぷっぷく様
★AKI様
★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-21 16:37)
Cedarさん、大感謝です。北陸新幹線開業で、「約束」がこのブログに登場するとは思っていませんでした。斎藤耕一監督の「津軽じょんがら節」と共に今も忘れられない日本映画の傑作だと思っています。
当時は今ほど鉄には関心がなかったので、実際の土地と映画の進行上の矛盾点など気がつきませんでしたが、それにしてもこの映画がもっている圧倒的な情感は、今の日本映画には望めません。
by semitaro (2015-03-21 19:09)
今から30年ちょっと前、「青春18切符」で兵庫県から新潟県まで、山陰線→宮津線→舞鶴線→小浜線→北陸線→信越線→越後線と「鈍行乗り継ぎ独り旅」をしたことがあり、ダイヤの都合でやむなく特急を使った区間を挟んで、5枚の切符を使い切ったのでした。細かいところは既にうろ覚えになっているものも多いのですが、富山から直江津まで、当時走っていたELが引く旧式客車列車に乗ったことははっきり覚えています。「親不知越え」で方言が西日本型から東日本型に変わり、「列車でここを通ると客が入れ替わるごとにしゃべっている言葉が微妙に変わって行く」ということが物の本に書いてあったのを、かすかながらも実感したようにも思えて、それが「鈍行列車の道中の醍醐味」だったのかもしれません。「悲しみ本線日本海」という歌がありましたが、今ではもう味わえなくなったこの人情味あふれる光景、まさに今の「日本海縦貫線」のおかれた立場そのものですねぇ(悲)…。
柏崎は、母が戦時中に疎開していた土地で、後になってこの地を訪れたとき、疎開先の北条駅近くの寺院や、町の西側の海辺の高台にある「番神堂」からの日本海の眺め、ミニ美術館などがいくつか並んでいた「ミニテーマパーク」などを見てきたことがあります。
by 伊豆之国 (2015-03-21 19:41)
◼︎semitaro様
北陸線=裏縦貫線の時代のムードは新幹線開業で吹っ飛んだなあ〜と考えていたら、この映画を思い出したわけです。公開時は学生で鉄と映画が2大趣味、囁きのジョー、津軽じょんがら節、約束、みんな好きです!
◼︎伊豆之国様
コメントのような旅はいまでは無理ですね、親不知の雰囲気も変わってしまったのでしょう。中央集権的な新幹線開業は文化圏をねじ曲げてしまう気がします。
by Cedar (2015-03-21 20:24)
★sonic様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-21 20:35)
こどもの頃にNHKの総合で放映されていて最後まで見ました。
ショーケンは「太陽にほえろ」のマカロニ刑事時代とほぼ重なって
いたように思います。
by nd502 (2015-03-22 00:03)
岸恵子さん
好きですよぉ〜
キレイなのはもちろんですが
色っぽさの中に可愛さがあって
魅力的ですよね〜
いい感じでお年をとられたのも
素敵です。。。
by FTドルフィン (2015-03-22 00:21)
◼︎nd502様
テンプターズ解散後スランプ状態だったショーケンが、この映画で注目され、マカロニ刑事でブレイクしましたね。斎藤監督と村川透監督の繋がりもあるようですね。
◼︎FTドルフィン様
岸恵子さん、昭和20年代の可憐さに色っぽさが加わりました。しばらく前に出た自伝的小説も衝撃でした。
★SpeedBird様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-22 01:45)
こんな「大人っぽい映画」が北陸本線の特に両端部を舞台に撮影されていたのですね。当時の列車の心地よい演出により、ボックス席での出会いが旅情を超える展開となった経験のある御仁も少なくないのではないかと思います。
長編成のDC急行“しらゆき”や小浜線の旧準急的なDC、NRSのタンク車など、懐かしいです。
日本海の荒波は実際に列車の運行に影響をきたしたことがありました。金沢行の寝台特急の最後部に乗っていた時に徐行していたので目を覚まして後ろの車窓を見ると波しぶきが線路を襲っていました。案の定、直江津方面へ向かう貨物列車は3列車が数珠繋ぎで止まっていました。
かつては鉄道で逮捕されたばかりの容疑者や囚人の護送に利用されていました。
1980年に富山県・長野県で起きた、ある凶悪事件では、2名が富山駅から急行“越前”に乗せられ長野駅まで護送されました。この模様はテレビで中継され、今でも長野駅でのシーンは記憶に残っています。結局、1人は死刑、もう1人は無罪が確定しました。
私は東海道新幹線の下り“こだま”(4列指定席)車内で囚人の護送を見たことがありました。
最近では組織のヘッドが出所して東京から神戸までグリーン車1両借り切る派手な移動がありました。
by 京葉帝都 (2015-03-22 02:06)
◼︎京葉帝都様
最近のものに比べたら当時の映画はみんな大人っぽいですね。
今の映画が科白やモノローグ過剰なのは、観客が、全部説明されないと『わからな〜い』と言われるんだとか…
2時間ドラマのタイトルと同じレベル〜観る側の知性低下ですね。
越前の護送シーンは憶えています。
by Cedar (2015-03-22 06:25)
この映画のことは知りませんでしたが、キャプチャーされてる画面を見ていると日本海側の情緒と言うか情感が惻々と伝わってくる感じがします。ほんと訳あり男女には冬の日本海の風情はぴったりですね。機会を作ってぜひ見てみようと思います。それと個人的にツボだったのは電話ボックスですね。
by 道草人生 (2015-03-22 10:55)
◼︎道草人生様
わけあり本線日本海〜って感じのウェットさとアメリカンニューシネマ風の映像が新鮮でした。
DVDレンタルもあると思います。
by Cedar (2015-03-22 12:49)
★ひでほ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-22 21:52)
★ネオ・アッキー様
★とーる様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-22 23:08)
★Ujiki.oO様
★素人写真様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-03-23 14:50)
急行「しらゆき」なつかしいですわ~。
上の方の鳥居のある小さな岬は笠島に違いありません。ほぼそのままの岬にきおくがあります。(ここはまだJRですが)
by やまびこ3 (2015-03-23 19:23)
■やまびこ3様
Cedarの『しらゆき』体験は映画公開の前年3月、大学鉄研北海道合宿の帰路に青森→新潟間で乗車しました。今だとへ~って感心されますが、当時は急行利用が普通でしたね。
(ここはまだJRですが) ということは、笠島ってのは信越線区間なんですか?
by Cedar (2015-03-23 22:18)
またしても超遅コメ失礼致します。
私が小学生の時なんで知りませんでしたが、うちの女房は知っておりました。当時結構な話題作だったようですね。確かに絵作りは素敵ですね、長くなるので細かいところはまたの機会に。ちなみにショーケンと岸恵子のカップルを、崩すと35年前のうちら夫婦の様でした。
ありがとうございました。
by チャッピー (2020-08-05 18:21)