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アメリカ鉄道黄金時代の建設と破壊(NRHS Bulletin最新号から) [アート・本]

最近も有力メンバーが来日、ファンと交流(イベント欠席、すみませんでした)したアメリカの鉄道ファン団体National Railroad Histrical Society、いつも素晴らしい写真満載の機関誌(Bulletin)が自宅に届くのは、そこそこ高い年会費払ってるから〜
BULLETIN01.JPG
(1=こらこら!もっときれいに開封せいや!)
~なんて憎まれ口はさておき、最新号の印象的な写真を2つお目にかけます。


まずはアメリカの鉄道が黎明期から黄金時代を迎え、劇的な発展を遂げていった歴史を雄弁に語る写真=この号(2014年冬版)の表紙です。
ペンシルヴァニア鉄道のフィラデルフィア・ブロードストリート駅の写真です。

BUILD01.JPG(2)
オリジナルの(多分)木造のホームシェッドが鋼鉄製の巨大な物に架け替えられていく様子がよくわかる写真ですね=いつごろの撮影かはDate Unknownとのことですが、資料によれば工事が行なわれたのは1890年代のようです。

(以下は例によってあちこち拡大してみました。)
駅そのものも大拡張され、手前に新しい線路が伸びているのが見えます。BUILD04.JPG(3)
右側の線路にブレた車体が見えているのはカブースですかね・・・。当時は貨物列車も出入りしていた?

オリジナルの木造シェッドもなかなか凝った造りだったようです。BUILD02.JPG(4)
腕木式信号機も発着する列車も、まだまだ古典的なもの~機関車も西部劇でよく見られるようなスタイルで、連なる客車もオープンデッキの木造ですね。
なんて書くとお詳しい方からブーイングでしょうが、電車屋CedarにはペンシイのSLや客車の形式などは全く判りませんので悪しからず。

鉄道黎明期の施設や車両が、一気に大型化、近代化されていった時代、アメリカの大都市のターミナルは、花形交通産業として競争にしのぎを削った鉄道会社のシンボルストラクチャーとなっていったのでしょう。

絵はがきに描かれたブロードストリート駅の全景、トレインシェッドと宮殿のようなターミナルビルは、ロンドンのセントパンクラス駅のようです。路面電車の線路がビル下に入ってるのが電車屋Cedarには興味深々。
ehagaki.JPG(5)

本文中に改装後の写真も載っています。ヨーロッパの駅を思わす優雅で巨大なアーチのトレインシェッドは、幅91mもあって建設当時は世界最大でした。車両もアメリカンなヘビー級揃いです。
BUILD05.JPG(6)
フィラデルフィアではシティホールと並ぶランドマークと言われたこの駅は、1953年に再開発で廃止・解体され現存しません。旅客輸送の衰退期には大都市のランドマークだったターミナル駅がどんどん消えていったのでした。


建設風景もダイナミックなら、破壊風景もダイナミックなのがアメリカの鉄道なんでしょうか?


一見普通の鉄道風景、アメリカらしい豪快なコーリングタワーが大平原に聳えているSCRAP01.JPG(7)

~と思ったら実はこうだった!

SCRAP02.JPG(8)
アメリカのニュースでしばしば出てくる爆破による建物解体を、なんと線路上でやっちゃったとは!
ディーゼル化で不要になったサンタフェ鉄道のコーリングタワー、場所はアリゾナ、撮影は1940年ごろだそうです。
そんなに離れてない場所にゴンドラカーに乗った人影が見えます(ダイナマイトのスイッチャーだったりして~)
SCRAP04.JPG(9)
その少し後ろの駅本屋のあたりに止まっているクルマは見物人なのでしょうか?
爆風や飛んでくる瓦礫にくれぐれもご用心!と、要らぬ心配したくなります。

さらによく見ると、手前の線路に短いレールが置いてあります、爆破された給炭塔の直下のレールを外し、一時避難させたようです。SCRAP03.JPG(10)
この写真の何秒か後には瓦礫の下敷きになる部分のレールを外すとは、アメリカらしい豪快&アバウトな中に、妙な芸の細かさも感じます。

大平原の真っ只中とはいえ、なんとも大胆な所業、瓦礫が片付けられ線路が戻されるまでの何日か、この線は営業休止してしまうんでしょうね。


スクラップ&ビルド(破壊と建設)っていう言葉は、技術革新や近代化のプロセスでよく出てきたものですが、アメリカの鉄道の歴史の中でも繰り返されたことで、今日の記事タイトルで戴きました。写真の順序は逆なんですが…。

てなわけで、NRHSのBulletinから~
                                 SCRAP & BUILD
BULLETIN02.JPG(11)

実は裏表紙と表紙でした。



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Chitetsu

アメリカは作るのも壊すのも豪快ですね。
ターミナルの上家の改築方法も面白いです。
建物の寿命、日本は短いと思っていますが、あちらの国も短そうですね。
by Chitetsu (2014-05-26 13:53) 

フェラデルイヌ

きゃー!
かっこええええええええ~!
いまのフィラデルフェアの中央駅?ユニオン駅?とは違う場所なんでしょうね?
路面電車はホーム間の乗り換えにもつかえたのでしょうか!?
向こう側にも突き出すんでしょうか!?
ともかく梅田駅と阪急百貨店、なんば駅と高島屋みたいでシビレまくりますねえええええええええええええ!
by フェラデルイヌ (2014-05-26 15:36) 

なにわ

犬氏、ちょっと待ったぁ
なぜそこで下ネタ・・・
詳細なコメントはまたあとで

by なにわ (2014-05-26 15:43) 

Cedar

■Chitetsu様
最近アメリカでも古いビルを残してリノベーションが増えてます、一番乱暴なのはどこかの島国ですね。
■フェデラルイヌ様
今アムトラックが発着する30丁目とは違う場所です。
もうひとつのレディング駅は南海難波駅に似た造りの電車駅でしたがこれも消えちやったらしいです
★nd502様
★あるまーき様
★素人写真様
★hanamura様
★FTドルフィン様
nice!ありがとうございます

by Cedar (2014-05-26 17:06) 

Cedar

■なにわ様
フェデラルイヌじやなく、フェラデル~だったことに今気がつきました。老眼は細かい字は認識しないです。

★フジトモ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-05-26 19:40) 

なにわ

1956年の北東回廊線でも、1時間に1本ネームドトレインが走り、これに夜行6往復が走ってる、ということはお客さんが多いわけ(今もその同じくらい走っているわけですが)ですから、衰退で取り壊したのではないとは思うのですよ。
一方のレディングのターミナルは線路が無くなっても、いまでも商業施設はあるはずなんでしょうが。リンク先が消滅してたので。
by なにわ (2014-05-26 21:47) 

Cedar

◼︎なにわ様
北東回廊線はたしかにアメリカ随一の旅客輸送量ですが、当時は通勤輸送で赤字が出ていたようです。
それとは別にあの頃は再開発で歴史的な建物がどんどん壊されました。今の日本みたいです。

★やまびこ3様
★モボ様
nice!ありがとうございます

by Cedar (2014-05-26 22:25) 

Cedar

★suzuran6様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-05-27 06:40) 

Cedar

★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-05-27 13:43) 

Cedar

★げいなう様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-05-28 05:00) 

京葉帝都

世界最大と言われたトレインシェッドが残っていればより集客力のある空間になっていたことでしょう。(5)からは頂部には煙の換気口があったように見えます。
先日大阪駅でホームの上の片流れの大屋根を見ましたが、南北の商業施設を跨いだ形でした。通路や両サイドからホームと列車を見下ろすのにはまあまあの演出かと思います。
線路上の建物を解体するのに鉄球をぶつけるのではなくダイナマイトで解体するとは驚きました。日本では琵琶湖畔にあった通称「幽霊ホテル」の爆破解体を思い起こしました。

by 京葉帝都 (2014-05-28 14:20) 

Cedar

◼︎京葉帝都様
大阪のトレインシエッドは雨風が吹き込みが酷いようです
大陸のような乾いた気候でないとあの構造は問題ありですね。
タイ、バンコクのファランポーン駅の湿気熱気を思い出します。

by Cedar (2014-05-28 17:33) 

Cedar

★arail206様
★パルの大冒険様
★hideta-o様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-06-01 05:14) 

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