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北国の帝王 [映画・音楽]

今日は久々に映画の話です。近所のレンタルビデオショップで、昔昔に映画館で観て、もう一度観たいと思っていた映画を見つけました!

北国の帝王005.JPG  

タイトルは「北国の帝王」 1973年のアメリカ映画です。50歳以上の鉄好き・映画好きなら、ひょっとしてご存知かも?

舞台は1930年代~大不況時代のアメリカです。HOBO(ホーボー)と呼ばれた、貨物列車に無賃乗車する放浪者と、彼らを取り締まる冷酷非情な車掌のバトルを描いた、男くさ~い映画です。

主演はこの2人。北国の帝王05R.jpg  左のアーネスト・ボーグナインはHOBOを見つけ次第容赦なく列車から突き落とし、時には殺してしまうこともあるシャックという名の鬼車掌役。 右のリー・マーヴィン<北国の帝王>と呼ばれる伝説的なHOBO役です。

北国の帝王08R.jpg北国の帝王10.JPG

北国の帝王11.JPG北国の帝王06R.jpg

映画のストーリーはいたって単純。

増加するHOBOに手を焼いた鉄道会社が雇った、とにかくHOBOを見つけ次第叩き落す(ホントに!)情け容赦ない車掌に対して、HOBOたちがあの手この手で挑戦(!)するというもの~さらに鉄道会社のスタッフがどちらが勝つか賭けたりする~こんな非人道的な話があるか!と思ったら、まんざらフィクションでもないらしい、のがアメリカですね~。

金の無いやつは悪、社会の屑、死んでも仕方ないのだ!という資本主義の論理と、放浪者HOBOの対決が描かれるのですが、金の無いやつも物凄くタフ!っていうところが、アメリカ映画らしいところ。

北国の帝王12R.jpg

一種の西部劇ですから、男のガチンコ勝負がこれでもかこれでもかと描かれます。どちらが正義か悪か?なんていうのは関係ない、最近のアクションゲームのような感覚の映像です。(HOBOの師弟関係がサブストーリーというのもいかにもアクション映画らしい。)

東洋哲学的無抵抗主義なんていうのは糞食らえ!ま、もともとはバイオレンス派として当時大人気だったサム・ペキンパーのための企画だったらしいですから・・・

北国の帝王03R.jpg

この映画は鉄的には見所満載です~なんたって舞台は鉄道ですから~タイトルや鉄道名からわかるように、アメリカでも北の山岳地帯~オレゴン州が舞台のようです。

鬼車掌が乗務する機関車№19(=列車にではなく特定№の機関車に乗務員が付いているというのはイギリスなどではあったようですが1930年代のアメリカも同じだったのでしょうか?)の所属はOREGON PACIFICという鉄道で(架空かどうか、私は知りません)、テンダーにレタリングが描かれています。

ヤードでの火事騒ぎや、待避線での危機一髪、昔のHOレイアウトに必ずあったティンバートレッスルでのシーンなど、次々と機関車と貨車でのアクションシーンが続きます。旅客列車の屋根に乗って目的の貨物列車を追い抜く。っていうシークエンスもあります。北国の帝王003.JPG (これから見る方もいらっしゃるかもしれませんから、詳しくは書きません。)

~しかし1930年代のアメリカの鉄道がこんなシステムで運行されていたとしたら、随分原始的だな~というのが正直な感想です。

私はアメリカン鉄ですが、インタアーバン・ストリートカー一本槍なので、出てくる機関車の形式とかはまったく判りません~ でもロケ場所はホントにきれいなところです(例えば下のカット~) 北国の帝王14R.jpg

でも、この映画の見所は、ずばり「男の顔」ですね。

アーネスト・ボーグナインのギョロ目の大迫力Vsリー・マービンの無表情の勝負。北国の帝王002.JPG北国の帝王001R.jpg

(主役以外の男たちの表情もアップが多くて、それぞれにいい味出してます。)

昔仲良しになったゴールデン街のオカマちゃんが映画が大好きで、「北国の帝王~いいわあ~!」って鼻息荒くしていたのを思い出しました。北国の帝王09R.jpg こういう男の顔に痺れるってのは単なる面食いじゃなく<男を見る目がアル>オカマちゃんだったのですが、今思うとご本人がリー・マーヴィン(↑)に似ていたような・・(笑)

北国の帝王13.JPG北国の帝王07.JPGR.jpg

世界同時不況前夜か?と言われてる今の時期に、妙にフィットしている気がするこの映画

映画の中にも世の中を呪う言葉や、国民の協力を訴える大統領の演説が、ラジオから白々しく聞こえてくるシーンがあります。~今も昔も、アメリカという国が抱える格差は資本主義の宿命ともいえるものですね。ソレは正しい!と真似してきたEUやアジアの某国もいまや大変な状態ですけど・・・

激しいHOBOいじめに、ウォール街で格差解消を訴えるデモを取り締まるシーンがオーバーラップしてしまう。

北国の帝王04R.jpg

~~なんてコ難しいことはまったく関係ないです。作り手もそんな社会風刺には興味は無く、ただただ男同士のガチンコアクションと迫力ある表情を見せたかっただけ!なのでしょう~なんたってサム・ペキンパーのための企画だったのですから。あ、監督はロバート・アルドリッチです。

やっとレンタルになった「北国の帝王」~ 必見ですよ!

北国の帝王R.jpg

 ちなみにHOBOの語源が、日本語の<方々>、っていうのは本当でしょうか?


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コメント 22

manamana

すごい映画があるんですね。
鉄道が舞台なんで見てみたいけれど、
ギョロ目がホラー並みに怖いです。
by manamana (2011-12-28 07:32) 

nd502

2枚目のモノクロは子供の時によく目にしましたよ。
by nd502 (2011-12-28 07:38) 

hanamura

子供の頃、アーネスト・ボーグナインが悪役なのに、ショックだった覚えがあります。(ポセイドン・アドベンチャーの後に見たからかな?)見所満載ですね!
by hanamura (2011-12-28 08:16) 

Tad

公開当時だったと思いますが,TMSのミキストで山崎主筆がこの映画の紹介をしてましたね。

ちょいとWikiってみたら,ロケはオレゴンのCottage Groveあたりで,Oregon, Pacific & Eastern鉄道が社長の鶴の一声でロコ(ミカド)をはじめヤードも含めて撮影全面協力したとか。Cottage Groveには前に何度か注文した模型店があったので忘れられない地名です。

ちなみに,ここでは彼のバスター・キートンの“The General”もロケしたと云う話で,ボクにはそっちの方が嬉しい。何せ使われた客車がパシフィック・エレクトリックの200クラス,ハンティントン・スタンダーズを改造したヤツでしたから。
by Tad (2011-12-28 14:27) 

ひもブレーキ

この映画公開された時に2度観に行きました。年代的と幹線らしい設定を合わせると機関車が一寸セコイし貨物列車も短い。旅客列車牽引がコンソリデーションなどなど突っ込みたくなるところ多々出てしまうのが鉄の性ですが、楽しめる映画でした。
>列車にではなく特定№の機関車に乗務員が付いているというのはイギリスなどではあったようですが1930年代のアメリカも同じだったのでしょうか?
については知りませんが、貨物列車は機関車の番号がそのまま列車番号としていたようです。
by ひもブレーキ (2011-12-28 14:59) 

Cedar

■manamana様
この主人公は怖いです、何しろハンマーでHOBOの頭殴りつけますから~
■nd502様
なるほど~その頃紅顔の美少年でいらしたわけですね。歳の差がわかります。
■hanamura様
アーネスト・ボーグナインは善人キャラの性格俳優として日本でもそれなりに人気でしたから、この役は違和感あったでしょうね。凄い迫力でした。
■Tad様
さすがに詳しいですな!アメリカの鉄道は撮影にはいたって協力的(しっかり見返りはセシメマスガ~)ですからこういうことも出来ますね。
ハリウッドの喜劇でのLaryやPEの献身的(!)協力は子供の頃からスゲエ!と思ってました。
■ひもブレーキ様
鉄が鉄道の出てくる映画を見ると、細かいところにツッコミ入れたくなるのは悲しい性ですね。
機関車のNo=列車番号だったのですか?それで納得です。
by Cedar (2011-12-28 16:30) 

Cedar

■gardenwalker様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2011-12-28 16:31) 

nexus6

この辺りの時代の映画ネタでありますれば、小生のココロもギュっとワシ掴み!!!  月刊 ロードショー (集英社) とか買ったりしてました...
E.ボーグナインさん、まだご存命なのでしょうか?  コレ、小生も借りてもう一回見てみよう
by nexus6 (2011-12-28 21:40) 

maipenrai

リー・マーヴィン似のオカマ…!? あの方かしらん。
 特定の機関車に特定の乗務員がつく、というスタイル。日本でも昭和初期頃まではあたりまえに行われていたシステムのようです。もっとも一両の機関車2~3組のスタッフがつく、という形だったようですが…。機関車の性能が上がり、ロングラン運用が組まれるようになって、A(機関車)、B(乗務員)運用が分化していったようです。
「北国の帝王」というと、狼が主人公のコミックスもありましたね。
by maipenrai (2011-12-28 22:46) 

Junior

 
エース No. 1参上!!と挑戦的に給水タンクに描かれてるシーンを思い出すなぁ。
殆んど男しか出てこない映画って、あの時代珍しかったですよね。

映画館で二度、テレビで一度見ましたけど、うーん、リー・マーヴィンがオッサン臭くて貧乏臭いけどカッコええんですよねぇ。

観てない人は是非!!
 
by Junior (2011-12-29 00:33) 

Cedar

■nexus6様
E.ボーグナインは、90過ぎてまだ健在で、時折TV出演などしているらしいですね。
この記事がきっかけになって、邦画だけでなく、古い洋画の鉄シーンも気になりだしました。
■maipenrai様
え~!、G街のあの娘(男)をご存知なのでしょうか?
機関車と乗務員の関係は、ここの機関車にクセやがあったSL時代なら固定化されているのもわかりますね。乗務員=整備士だったりするのでしょう。
■Junior様
ほんとに女性が出てこない映画でした、女性は旅客列車の洗面所で体拭いてる人くらいしか出てこなかったのでは?新宿G街~2丁目で人気あったのも肯けますね(笑)。
by Cedar (2011-12-29 10:36) 

Cedar

★denta60様
★湘南ライナー様
★nd502様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2011-12-29 10:39) 

railtruck

コンソリではなく、ミカドではなかったですか?
観ての帰りに寄った行きつけの模型店でこの話で盛り上がったことを覚えています。
当時、トビーからよく似たミカドが出ていましたね。
by railtruck (2011-12-29 11:04) 

Cedar

■railtruck様
多くの皆さんがごらんになってるんですね~。当時は鉄道が舞台の映画はヨーロッパものでは多かったですが、アメリカものは少なかった?
横浜のトビー模型も懐かしいです。
by Cedar (2011-12-29 11:54) 

サットン

おもしろそうな映画ですね♪
人煙稀な荒地を行く列車、当時は鉄道側も命がけで守っていたんでしょうね。
by サットン (2011-12-29 11:58) 

line

TVで見たことあります。確か若造も絡んできてましたよね。
アメリカの鉄道絡みの映画だと、スティーブン・セガールの「暴走特急」とか印象に残ってます。最近だとデンゼルワシントンの「アンストッパブル」かなー。
by line (2011-12-29 19:27) 

Cedar

■サットン様
何も考えずに観れば面白い、いろいろ考えつつ観ると、面白くてやがて悲しい映画です~つまり面白いです。
■line様
>若造も絡んできてましたよね。
リー・マーヴィンの弟子入り志願する若造はキース・キャラダインでした。
「暴走特急」は観ましたが「アンストッパブル」は逃しています。
by Cedar (2011-12-29 19:51) 

Junior

 
この映画のトレイラーやらサワリの動画がありますよ。
で、No.19はミカドです。

http://www.youtube.com/watch?v=C_nsdKRV6DI
http://www.youtube.com/watch?v=c3QlXk8Ex4Q

 
by Junior (2011-12-30 00:45) 

Cedar


★パルの大冒険様
nice!ありがとうございます


by Cedar (2011-12-30 08:54) 

C57135

謹賀新年
平成24(2672)年  元旦


北国の帝王、懐かしいですね!
私は50歳以下ですが、確かのこの映画は旅鉄の黄色いページに紹介されていて、TV放送を楽しみにしていた記憶があります。
車掌がハンマーのようなものに長い紐を付けて走行中の列車の下に潜らせ、道床に撥ねらせて床下に潜む無賃乗車者を叩き落す、というシーンが壮絶でした。レンタルで出てたら久しぶりに見たくなりました。
by C57135 (2012-01-01 00:36) 

Cedar

■C57135様
謹賀新年コメント、ありがとうございます。
日本とは異なるアメリカのワイルドな鉄道風景は見ていてわくわくする映画でした。
無賃乗車したからと言ってここまでやるのか!と言う感じでした。
by Cedar (2012-01-01 10:27) 

railtruck

> 車掌がハンマーのようなものに長い紐を付けて走行中の列車の下に潜らせ

機炭間のドローバーの予備のピンのようでしたね。

今年もよろしくお願いします。
by railtruck (2012-01-01 17:45) 

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