赤い電車と『女は度胸』 [映画・音楽]
意外にご好評いただいてる映画の鉄シーンスキャン。
今日は昭和44年の松竹映画~舞台はまたも蒲田。
(1・2)今度は京急の走る蒲田、羽田界隈のお話ですから・・当時の電車も写りますよー。
(3)おっと、いきなり鉄ならぬヒコーキ!ダビンチマークも懐かしいANA、懐かしの727!?(4)
成田の開港前ですから、英文の看板が目立つ羽田、海老取川のこの風景はCedarもよく憶えてます。中央の緑のガーダーは京急穴森線の線路跡で、戦後の空港拡張で穴森稲荷までに短縮され、代わりに国鉄蒲田駅から延びた貨物線になったのは拙ブログでご紹介しました→http://cedarben.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04
駅名に全くそぐわない単なる支線の終点、空港まではバスに乗らないと辿りつけなかったのは、ご存知の方も多いでしょう。
(7・8)
出ました!当時、支線のヌシだったデハ230。空港線はMTM3連、中間はサハ化された3扉の290です。運転台全室化やシールドビームヘッドライトなどの更新スタイルも懐かしいです。
そう、オリンピックから万博へ、高度成長の日本は週休2日じゃあなかったんです!よく働きよく遊びまた働く。それが日本人でした。
後ろに渡り線と電車が見えてますが奥の電車は留置車で、ここからは単線〜ですからこの駅は穴守稲荷です〜
(12〜15)
かくして、土曜の午後、空港線230の車内で、主役の2人が出会うわけです。
なんだかつい最近まで、こんな感じだった気がしますが、高架化して2年も経ちました。
乗り換えた本線の電車(という設定)は2枚窓の昭和京急顔、線路脇の道路からクルマで並走しての撮影~こんな場所があったのですね。
京急らしい疾走シーンですが、4連ですから各停でしょう。
特急だとカメラカーがスピード違反しちゃう〜。
下のキャプチャでは、クハの運転台を客室化し4連化した部分が確認できます。
〜なーんて、鉄ヲタ的視点で観たタイトルロールでした。(19)
挿入歌がなんだか恥ずかしい(!)ラインナップですね。こういうのが当時の映画に出てくるたび、チャラい軟派だったCedarは居心地悪く感じたものです。
挿入歌がなんだか恥ずかしい(!)ラインナップですね。こういうのが当時の映画に出てくるたび、チャラい軟派だったCedarは居心地悪く感じたものです。
山田洋二のシニカル脚本と森崎東のコッテリ演出が相乗効果になってます、好き嫌いは別れるでしようが…。
(22)中でも兄貴役の渥美清は絶品!
フーテンの寅の原形というか、もっと下品でスケベでラジカルで〜この人のセリフ廻し聴くだけでも、この映画の価値があります。
以下は鉄絡みのカットのキャプチャ集です。一応順番に並んでますがストーリーは説明しません。
(23)主人公カップルのシーンでは京急も活躍。1000形のステンレス製幅広片開きドアに目がいくのは鉄だけでしょう。
羽田空港駅は何度か登場します。
ストーリーの喜怒哀楽を、同じ場所を使って繰り返し見せることで観客に印象付けるのも、映画のテクニックのひとつです。下の3シーンも喜、哀、怒をはらんでますが、ストーリーが分からないので伝わりませんね〜すみません。
(25〜27)鉄は後ろの運賃表やら、上りだけの時刻表が気になる〜終点ですから当然ですが〜。
当時でも10分ヘッドだったんですね。この頃一時期だけ品川直通だったことがありますが、中止後のようです。
(28・29)
倍賞美津子が働く工場の前でのシークエンス。
四ツ星電機って、どこかで聞いた名前?です。
出てくるクルマも懐かしいです(ただそれだけでキャプチャしました。)
踏切や線路越しのカットが繰り返し出てきます。
いつも書いてますが、線路を渡るシーンって、決心とか、次のステップに踏み出すとか、変化する場面展開のブリッジに登場することが多いです。そういう『映画文法』も最近は廃れました。
(32・33)
下の2つも、映画やさんのお気に入り、通過電車の床下を透かして踏切で待つ人を撮る〜はやる気持ちを表現してるわけです。
しかし、倍賞姐さん、たくましい感じですね・・・
ソフィアローレンの役どころ狙い?(って書いてもよく分からない?)
というわけで、イタリア映画にも通じるこってり艶笑喜劇(って評してもよく分からない?)
そもそも艶笑喜劇って死語かも?
京浜急行が走る蒲田、羽田の場末の街描写は、なかなか楽しめます。
予告編には都営5000もチラリ登場。
ではまた
2014-12-23 03:38
nice!(15)
コメント(19)
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この時代のカラー映像は独特の雰囲気がありますね。
海老取川の風景、アジアを感じます。
230形はこの路線で走る姿しか自分は見ていません。
せめてダルマ急行ぐらい乗っておきたかったです〜。
by Chitetsu (2014-12-23 09:20)
◼︎Chitetsu様
映画にデジタル技術が導入前の画像ですね。
ダルマ急行はこの頃はまだ走っていたはずで、高架から大師線への連絡線を上下する230に乗ったのに撮影してないんです。
by Cedar (2014-12-23 10:04)
★AKI様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-23 12:33)
お正月映画が、昭和の思い出です。
艶笑喜劇・・・イイですねぇ!(昨日とんでもな場所に行きました。)
寅さんと二本立てのドリフにキワドイ・シーンの思い出があります。
by hanamura (2014-12-23 12:45)
名が体を表していなかった旧「偽・羽田空港」駅には、かなり昔に用もないのに見に行ったことがありますが、空港の塀を目の前にして、いかにも寒々とした印象だけが残ったような感じを、おぼろげながら覚えているような気がします。羽田空港が沖合いに引越し、穴守線改め羽田線が名実共に空港アクセス線に変身してからは、2-3度乗ったことがありますが、ここ10年以上飛行機のお世話になるような遠出がなく、ご無沙汰しているので、国際線ターミナルなど、その後の繁栄ぶりはTV番組で少し知るだけです…。
写真に出ている230系は、これよりも更に昔、昭和40年代頃に川崎大師にお参りしたときに乗った記憶があり、窓は大きいのに、板張りの床や壁と、沿線の雰囲気とあいまってか、薄暗い印象が残っていたのでした。「うどん県」に行った仲間には、20年ほど昔に「琴電乗り回し」で乗り合わせた記憶もありました。空港へのアクセス路線の役割を果たしていなかった頃の、行き止まりのローカル線だった穴守線は、おそらくKQで最後の吊り掛け電車、460とか500系が残っていた路線だということをTP誌か何かで見たことがあります。
…箱根駅伝ももう間近ですが、京急蒲田の踏切を駆け抜けて行く駅伝ランナーの雄姿も、やがて記憶の彼方に去ってゆくのでしょうか?…
by 伊豆之国 (2014-12-23 12:52)
踏切や線路越しのカットは
何度か挑戦していますが
スチールだとなんかうまく行かないんですよね
昔の電車はいいなぁ〜。。。
by FTドルフィン (2014-12-23 12:59)
ジェット機、艀、電車、車、と乗り物だけでも結構楽しめるよう、当時の映画人のサービス精神が伝わってきます。街のポテンシャルも高かったと言うか。(38)の広告ネオンは東南アジア的ですね。挿入歌の「フランシーヌの場合」はどのシーンで歌われたのか気になります。
by 京葉帝都 (2014-12-23 13:41)
◼︎hanamura様
お正月映画って響きも懐かしいです。
Cedarは学生時代の大晦日は、紅白が始まる頃に家を出てオールナイト観て、近所の神社に一応初詣して家に帰る、ってのが習慣でした。
◼︎伊豆之国様
京急穴森線ほど変貌した線も珍しいですね。川向こうの大師線とは対照的です。沿線のムードもずいぶん変わりました。
◼︎FTドルフィン様
仰る通り、ムービー的なアングルかもです。でも貴兄の腕前ならば、傑作いけます、期待してまーす。
◼︎京葉帝都様
いつも書いてますが、映画人には乗り物好きが多いのと、ドラマの区切りに乗り物のカットは便利なんです。
フランシーヌの場合、歌われたのは『ともしび』の店内シーンでした。
★sonic様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-23 19:43)
海老取川の鉄橋、覚えています。空港線の品川直通は、鮫洲の待避線ができてからで、1年か2年くらいでなくなったはずです。
by モハメイドペーパー (2014-12-23 22:50)
◼︎モハメイドペイパー様
空港線の品川直通〜鮫洲の退避線で撮影したことがあります。たしか2連だったような記憶がありますが記憶違いでしょうか?
★やまびこ3様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-23 23:38)
妹が空港線なら、姉は亀戸線、押上線ですね(『下町の太陽』)
by 低N (2014-12-24 04:55)
◼︎低N様
空港線対亀戸線の姉妹対決?なるほど、それで記事書けましたねー。
京成押上線だともっと良いかも。
ほとぼり冷めた頃にやりますかね?ネタ振りありがとうございます!
どちらも山田洋次絡みだし。まずはTsutayaチエック。
by Cedar (2014-12-24 06:20)
新しいものと昔からのものが同居していた時代ですね。
総天然色(死語ですねぇ)で見ますと、記憶が鮮明に蘇りますね。
大阪は、昭和45年の万博を契機に大きく変わった頃でした。
by のり (2014-12-24 06:58)
◼︎のり様
東京が1964年のオリンピック、大阪は1970年の万博。
その狭間の時期は、映画はまだ辛うじて娯楽の主流でしたが、急速に力を失っていきました。
★undo様
★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-24 08:54)
★hideta-o様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-24 14:55)
★あるまーき様
★nd502様
★MONSTER ZERO様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-24 23:47)
音楽はあの山本直純さんだったのですね。
当時の京急羽田線は閑散としていて典型的な都市内のローカル線だったのでこのように撮影出来たのかもしれませんね。
高度経済成長期の日本の風景が垣間見れますね。
by UZ (2014-12-25 00:57)
◼︎UZ様
直純さんは松竹山田組との仕事は多いですね。
この映画のあと、『喜劇、女〜』シリーズは舞台を新宿に移し、新宿芸能社というお座敷ストリップ斡旋所のお話になって、仰るように高度成長期の日本を脂っこいタッチで描いてます。
こちらは鉄分皆無なんで取り上げませんが…。
★takechan様
by Cedar (2014-12-25 08:21)
◼︎takechan様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-12-25 11:44)