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BIGなトラクションターミナルのお話、その1(インタアーバンは面白い=その7) [外国鉄写真(昔)]

前回は日本のインタアーバン京急のお話でしたが、お次はインタアーバンの本場アメリカへ、或る町のインタアーバンターミナル紹介です~。

なのにいきなりバスターミナルの画像?TR TERMINAL 1962.jpg(1)            ここは1962年インディアナポリス、インディ500カーレースとかで、電車好きよりも車好きに有名な中部の都市です。Greyhoundなどの長距離バスの姿が見え、アメリカのどこにでもあるバスターミナル(Bus Depot)がなんで登場するかというと~

(2・3)実はこのバスターミナルのオリジナルの姿はこうだったのです!IR TERMINAL05.jpg1962年にはバスの発着する大屋根の下からは、インディアナポリスから放射状に伸びたインタアーバン路線の電車がひっきりなしに発着していたのでした。阪急梅田駅と同じ発着線9本(!)を大屋根が覆っています

右に見えるビル(Indianapolis Traction Terminal Building)の1階はチケット売り場や待合室やレストランなどが入っていました。1920年代のアメリカには、早くも後の日本の私鉄ターミナルのカタチが存在していたって事ですね。それにしてもアメリカの電車らしく、ホーム入口のカーブはめちゃくちゃタイトです!IR TERMINAL 06.jpg

それもそのはず、下の線路配置図をご覧あれ~このターミナルの周辺の軌道はすべて路面軌道!郊外から街に入って路面軌道を走ってきたインタアーバンは、交叉点や3差路を通ってターミナルに入ってくるわけです。日本で言えば阪急や近鉄の電車が岐阜の徹明町のような交叉点を曲がったりクロスしたりする、という感じでしょうか?

(4)IR TERMINAL MAP.jpg

左上の不思議にシンメトリーな配置の引込み線群は、貨物ホームです。オハイオ州・インディアナ州あたりのインタアーバン各社は統一規格の貨物トレーラーを造って、Box Motor(荷電のことをこう呼びます)が高速で牽引するTrolley Freightで蒸気鉄道に対抗していました。運転は夜行が主で、真夜中の平原を高速で突っ走るトロリー貨物はかなりの収益を上げたこともあったようです。

インディアナポリス周辺の電車はM&Aを繰り返し、Indiana Railroadに統一されましたが、この図では貨物ホームが会社別になっていますね。

(5)貨物ホーム(Freight House)の画像もご覧下さい。IR TERMINAL FREIGHT DEPOT.jpeg電車と自動車が入り乱れてめちゃくちゃな活気です。ここからは遠くカナダ国境のデトロイト、南部の入口テネシー州ナッシュビルまで貨物列車が直通していたとか・・このエリアのインタアーバン路線網は稠密で、なにしろ1920年代のインタアーバン全盛期には、NYからシカゴまで電車を乗り継いで行けた!というくらいですから・・・

 

(6)IR TERMINAL 03.jpg大屋根の下のホームの情景です。Indiana Railroad成立前のこのターミナルは、今の京成+都営+京急並みに様々な会社の電車が入り乱れて発着していたのでしょう。世界最初の寝台電車や、デラックスなパーラーカー、果ては棺桶を運ぶ霊柩電車まで、実に様々な電車が発着していたのでした。

(7)IR TERMINAL 02.jpgUS MAILのトラックからクモユニ(という形式ではないのは勿論です)のドアに郵袋が積み込まれています~かつては日本の私鉄でも普通に見られた光景ですね。


ちなみに現在のこの場所の姿はどうなってるでしょうか?

画像(1)のように、長くGreyhound Busのターミナルとして使われていたのですが、新しいBus Depotが出来て、鉄骨の大屋根の下からバスの姿は消えてしまいました~保存が検討されたものの老朽化のため、鉄骨屋根は一足先に解体・・・IR TERMINAL GHOST.jpg(8)

 

(9・10)IR TERMINAL.jpgTraction Terminal Buildingのほうは1970年代後半まで残っていたようですが、今は取り壊されてしまい、敷地にはインディアナポリス・ヒルトンが建っているとか・・・IR TEMINAL NOW.jpg

今日はインタアーバンのターミナルの中でも、最大級の規模を誇ったインディアナポリス・トラクション・ターミナルのお話でした。

シカゴやLAの電車が日本では比較的有名ですが、アメリカのインタアーバンの本場(!)といえばやはりオハイオ・インディアナあたりなんですね~

ではまた。(本記事の画像転載はご遠慮ください)


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hanamura

百年前の未来(?)すごい!
by hanamura (2012-09-06 05:49) 

maipenrai

配線図を見てるだけで萌えますね~。左上の五叉路のクロッシング、素晴らしいです。
by maipenrai (2012-09-06 06:15) 

EF510-230

トップの写真、一瞬浅草かなと思ってしまいました。寝ぼけ眼だったので、右にスカイツリーが、左のビルは復元された東武浅草駅に見えてしまいました。
by EF510-230 (2012-09-06 09:29) 

はーさん

1920年代と言えば、大正末期から昭和初期の頃ですね。
この時代のアメリカのインターアーバンの世界はすごかったのですね。
日本でもこの時期、大手私鉄の高速電車路線がいろいろ開業しましたね。
そのころの電車はアメリカのインターバーンに良く似たスタイルのもありました。不勉強で良く知りませんでしたが、インターアーバンの世界にCederさんのお陰で引きずりこまれそうです。
by はーさん (2012-09-06 17:30) 

なにわ

こっちのインスルはうまくいかなったんですよね。
by なにわ (2012-09-06 19:05) 

Cedar

■hanamura様
百年前の未来!感じ出てますね。子どもの頃の絵本にあった未来都市みたいです。
■maipenrai様
配線のコンセプトが日本と全然違ってますから凄いです。
でも、インタアーバンにドップリだった頃は、日本で右側通行と勘違いして電車待った事もありました。
■EF510-230様
あはは~なるほど、似てますね!
東武浅草駅には近々出動予定。
■はーさん様
日本の電車はやはりアメリカの技術をお手本にしてます。ヨーロッパの繊細なテクノロジーは使い熟せなかったのですね。
■なにわ様
インディアナもインスルでしたっけ?
不勉強でした。

by Cedar (2012-09-06 22:46) 

Cedar

★パルの大冒険様
★モボ様
★フジトモ様
★あおたけ様
★nd502様
★サットン様
★プント様
★ひもブレーキ様
★あるまーき様
★yakitorimitbier様
nice!ありがとうございます



by Cedar (2012-09-06 23:09) 

京葉帝都

写真に出てくる車両達は案外車長が長いのですね。台車間の距離はかなり短いのではないでしょうか。(7)写真の電車は窓の形状・配置からユニオンパシフィックの客車のように見えました。この規模の屋根を持つ路面電車の駅となると日本では広電西広島駅が思い浮かびます。5年前に利用した時は臨時ホームを含めて7番線までありました。
by 京葉帝都 (2012-09-07 00:59) 

Chitetsu

こんなの、生で見たら気が狂っちゃいそうです!
デジカメ持って走り回りたいデス。
配線を見ると、凄まじいですね。
今の電車みたいに階段だらけで歩いているうちに電車が行っちゃったりすることも無く行き来出来るなんて、バリアフリー先取り?
ここをひっきりなしに電車が走る光景、目に浮かびます。
夜行のカモデンもアメリカらしいですね。
by Chitetsu (2012-09-07 09:10) 

のり

これは凄いですね。屋根のみそのまま残っているのが面白いです。
三角お屋根は、私鉄ターミナルそのままです。吉野駅なんぞはいい雰囲気ですね。
下を行くインターバンの凄い事!
by のり (2012-09-07 23:50) 

Cedar

■京葉帝都様
インディアナ辺りの電車は全長60フィートちょっとが標準でしょうか?
日本の大手私鉄の旧形電車位のサイズですね。
(7)の電車は独特な形で模型製品も出ていて、Cedar も古いつぼみ堂製のHOモデルを所有してます。
大屋根で覆われたターミナルは日本には少ないですが・・おっとJR大阪駅!?(笑)
■Chitetsu様
>こんなの、生で見たら気が狂っちゃいそうです!
そうでしょう!私なんか時々当時のアメリカでインタアーバンの写真撮ってる夢を見ることがあります。
夜行貨物のトロリーフレイトもいずれ記事にしようと思っています。
■のり様
日本の私鉄ターミナルにもこのような屋根つきはいくつかあります。吉野、八瀬遊園など。地上時代の阪神梅田駅もそうでしたっけ?
これだけの規模のものは無いですけど・・


★triguraf 様
★denta60様
★suzuran6様
★nexus6様
★takechan様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2012-09-08 01:05) 

COLE

古きよき時代ですね
人の動き、旅の始まりそして終わりの終着駅
情緒があります

by COLE (2012-09-08 08:35) 

Cedar

■COLE様
インタアーバンの駅でも、このくらいの規模になると終着駅の風情がありますね。かつての南海難波駅、阪急梅田駅にも共通した雰囲気です。
by Cedar (2012-09-08 08:57) 

狂電関人

Cedarさま

久々のインタアーバンねた、興味深く読ませていただきました。

ニューヨークからシカゴまでインタアーバンだけを乗り継いでいけた話
スケール感が日本とまるで違いますね。

グレイハウンドバスはマッチボックスのミニカーを持っていました。
あのシルバーの車体に未来的感覚を覚えたものです。

そして、90年初頭義弟の勤務先オレゴンに遊びに行った際、
ポートランドで出会ったトラムはどんどん郊外に伸びていて線形も
専用軌道があったり併用軌道があったりとゆっくりと乗ったり撮ったり
してみたいと強い衝動にかられたことがありましたが、おそらくそれらは
今思えば、電関人が初めて見た実物のインタアーバンだったのでしょうね。
by 狂電関人 (2012-09-09 16:54) 

Cedar

■狂電関人様
ポートランドの電車は私も乗ったことがあります、前職でのT製薬の仕事で2週間ほどポートランドに滞在したときに、朝早く起きては乗ったり撮ったり、その頃は未だ1路線でしたが、今は空港への支線や、市街背後の山をトンネルで貫いて郊外へと拡充しているようです。
今の分類ではLRTと呼ぶのですが、一部かつてのインタアーバンの路盤を使っているところもあるとか?
by Cedar (2012-09-09 18:16) 

む〜さん

インディアナポリスの「インターアーバン」、圧倒的なターミナル、分かり易い文体、あのころの電鉄事情がよくわかり、感動で言葉もありません。
by む〜さん (2012-09-14 21:08) 

Cedar

■む~さん様
この駅は電車専用駅としては世界有数のものだったと思いますが、戦前の関西私鉄のターミナルも負けてはいませんでした~というより、こういうターミナルもお手本にしているのでしょうね。
最近この駅で荷物電車を撮影しました~な、はずは無く、気が付いたら夢だったんですけど・・・最近こういう夢が多いのは、このブログの所為??
by Cedar (2012-09-15 02:56) 

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