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『レイアウトの時代』を懐かしむ。 [アート・本]

週末は出かけることも無く、部屋の整理中にこんなファイル発見!月刊誌の記事をテーマ別に編集したTMS特集シリーズの合本ファイルです・・。いかにも昭和っぽい体裁も懐かしい・・・
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(1〜5)車両作品集や、基礎知識、実物図面集など、いろいろありますが、ガキ鉄だったCedarが好きだったのは『ブック~ガイド~ホーム~サロン』と続いた『レイアウト特集もの』でした・・

古い順に、印象に残っている記事や写真を見ていただきます。

05-1.JPGまずは昭和32年発行の『〜ブック』から~06.JPG(6)
表紙裏に描かれた超小形レイアウトのイラスト&図面から、かなりの数の実物(?)が出来たようです(実はCedarも作り掛けて挫折しました)。巻頭は銀座天賞堂の店頭にあった初代『the Omega Central RR』の画像。Cedarが記憶している2代目よりもがらんとした印象です。

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ちなみに2代目のレイアウトプランはTMSで公募され、『~ガイド』の記事になってましたが、ズバリ採用されたものは無かったみたいでした。

実に日本初のインタアーバンの模型!がここに写ってます!トラクションオレンジのボディ、マルーンの幕板に作者の名前を冠したNY RRのレタリング、ボディのイメージはインディアナ辺りのクラシックスティールカー(※)なんてのは後々に知ったことです。07.JPG(8)
そもそもCedarがインタアーバン(記事ではインターバン)という言葉を知ったのもこの写真でした

(※)自由形というもののプロトタイプはこのあたりでしょうか?44.JPG
インタアーバンだとついつい余計なことしちゃう~

文字どおり、戦後の混乱期から立ち直り、車両中心だった日本の模型が、レイアウト黎明期を迎えたころの様子がわかります。

日本初の個人レイアウトとそれに続くレイアウトの紹介記事のタイトル38.JPG39.JPG
(9・10)〜なんと大袈裟な!と思いますが、今みたいに製品や素材が豊富で小学生でもレイアウトが作れる、ってわけじゃあない時代ですから。ちなみに制作は昭和25年とか。

 

私鉄電車好きのCedarが惹かれたのは糸の架線(!)が張られ、古はがき製ボディのP-6やモユニ81が走る吉田急行電鐵です。
(10・11)
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この記事を真似て、お座敷運転だった我が家でも、割り箸細工の架線柱を畳の継ぎ目に立て、糸の架線を張って走らせてみたら、見事にパンタが吹っ飛んで、父親に叱られたのを思い出します。

このトラウマにめげず、今に連なる『組み立て式レイアウトで架線集電にトライ』はブログ記事にしました。http://cedarben.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10-1


架線集電つながりのオマケ〜ってか別の特集シリーズ『スパイクから運転まで』に出てきた庭園鉄道MERです。

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(12・13)Oゲージ&架線集電という、今のCedarにも魅力的な庭園鉄道です。名鉄OR車風の電車が走り回る姿はこの目で見たかった!左ページ上のヤード風景などは痺れますね!セメント捏ねての工事の苦労などの記述も、読み物として興味深かったです。

Cedarがこの世に出てくる前の昭和20年代に、こんなにレイアウト作りが活発だったとは、最近流行りのテレビみたいに『日本人すごい!』と思います〜戦争に負けて10年たってないんですから…。進駐アメリカ軍のモデルマニアがもたらした影響はかなり有ったのも、あの時代のネガポジみたいなものですが。


18.JPG続いてはレイアウトプランの表紙がかっこいい、昭和34年発行の『~ガイドです。

昭和30年前半くらいまでのレイアウト建設記などが出ています。この本が出たころはCedarも小学生の鉄ガキで、父の影響で模型への関心もUpした時期でした。

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(14)この表紙裏にも痺れますね! 特に右ページの写真は素晴らしい、ぜんぜん精密に作られてないにもかかわらず、非電化ローカル私鉄の夏の昼下がりの感じが伝わって、蝉の声まで聞こえてきそうです。

なんでもかんでも精密ならいいってわけじゃない〜と、ここでも思います。

本文でも出てくるこのレイアウトは窓際立て掛け収納式で、当時には珍しく、車両も統一されていました。

個人のレイアウトには固定式でなく収納するタイプが多かったのも日本の住宅事情のせい~屋根裏も物置もなかった我が家ではレイアウトは夢のまた夢でした。

(15)こちら月光鉄道は、廊下に立てかけて収納するタイプ、空撮と見紛う俯瞰は水平撮りです。43.JPG
線路がとても多いですね、真中のヤードも最大限、ターンテーブルはC62も乗る大きさです。

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(16)2つに折りたたんで収納するのは瑞穂鉄道。ナロー風の車両が走るにしては、賑やかな線路配置でした。あ、作者の二井林さんは、後年トロリーレイアウトで気を吐き、Cedarが一時所属していたトロリーのクラブでは教祖と崇められたお方であります。

『~ガイド』掲載のレイアウトでいちばん気になったのは、有名なモンカルラインでした、おもちゃ箱をひっくり返したような模型!って感じの楽しい賑やかさはインパクトあったし、やはり架線が張ってあるのも良かったなぁー!
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リアル大好き!って昨今の方には『なんじゃこりゃ?』なんですが、この雰囲気、未だ憧れているCedarです。
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(18)アメリカ形主体でも、4-4-0から流線形ビスタドーム、インタアーバンまで、遊園地的な混在ぶりが印象的でした。やたらにヒゲ生えたぐるぐる回りの線路も楽しい!~モンカルラインはその後も発展して、次代レイアウトも『~サロン』に再登場します。

そして、戦前の科学教育たる鉄道模型とは違う、大人の趣味の模型の世界を覗かせてもらったのが、こちら、鴨鹿本線の記事でした。
(19・20)ぐるぐるエンドレスの中央が運転席。和服姿の作者は京大のセンセーでした。
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突然に『ストリップ劇場』『ヌード』『裸天国』などの言葉がでてきて、純な鉄ガキにはちんぷんかんぷん。

父に聞いても何にも言わずに笑っているだけで、ならばと近所のガキ大将に記事を見せたら、思い切り頭ドツカレました。

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(21)800号はヌードフィギュアのプロトタイプ特集で、接写写真や詳細図面満載で発禁確実!なんて記述も意味わかりませんでした。『大人の高級趣味たる鉄道模型』の世界ですね〜。

昨今の鉄道模型はアニメ的なファンタジーとの相性は良いけど、こんな大人っぽいユーモアとは無縁なのが寂しい・・・ま、Cedarが単に爺になっただけかもしれませんが・・・。

作者の宍戸氏はシカゴ大学の客員教授として渡米し、当時のアメリカ模型界のレポートを寄せていましたね。

精密ではないが遊び心満載の日本のレイアウトだけでなく、ここではあのGD鉄道が紹介されていました。

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(22)リアリスティックな沿線風景でファンを驚愕させる、と書いてあるように極東の無知な鉄ガキもぶったまげましたが、今の目で見ると、ハリウッド映画のセット的なストーリー性が魅力ですね。精密より省略と強調の匠って感じです。

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『ブック』『ガイド』の記事の初出は昭和32年くらいまでとか、Cedarが鉄ガキ以前の幼児だったころ、日本のレイアウトは元気な幼児期だったわけです。

このころの日本のレイアウトは、お座敷運転の線路を板に並べていつでも運転を楽しむためのもの、そこに立体交差もトンネルも欲しいから山も作って木も植えてみた、というものが殆どでした。走る車両もアメリカン4-4-0から湘南電車までが混在したり、森林タンクが国鉄貨車を引っ張るのも普通でした。

でも、

それもなかなか楽しい!って皮肉でなく思うのです。

あれこれエラそーに言うわりに、既製品の線路とストラクチャーが並び、『走ルンです』の長編成がスケートスピード300kmで突っ走る、プラレールにシーナリーつけたみたいな昨今のNのジオラマより、よっぽど夢があって楽しい(すみません、言い過ぎですね)と。

再現力を競うジオラマより、夢を立体化するレイアウトが好き

なんですよね~。
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(24=よくわからん話でスミマセン~もうやめよーよ)

鉄ニャンもこう申してるので、ひとまずここまで。

ではまた。 


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モハメイドペーパー

 ジョン・アレンはレイアウトの神様のような存在でした。今時の人は知らないでしょうね。究極のレイアウトは贅肉をどんどん削って、エンドレスにヒゲ1本。日本のわび・さびの境地に似ているような気もします。
by モハメイドペーパー (2015-04-15 00:24) 

hanamura

鉄ニャン おはようございます。朝日がまぶしい。
私はジオラマもレイアウトも、見てるだけ~!
by hanamura (2015-04-15 05:54) 

12号線

>アメリカン4-4-0から湘南電車までが混在したり、森林タンクが国鉄貨車を引っ張るのも普通でした。

東武デパート池袋店7Fに存在したジオラマを思い出しました。
ガラス仕切りの前には電車から転用したマスコンとブレーキ弁が並べられていましたが、それらの動きとは無縁にコイン投下で動く仕組みでした。
欧米の列車が居並ぶ中に1編成だけ日本の車両。それだけ狙ってなげなしの駄賃をつぎ込んだものですw

by 12号線 (2015-04-15 07:11) 

鉄わん

たまらんなー!
いまでもたまに夢を立体化したヤツを見かけます。
やっぱりそれはすばらしいものではありますが、想像力と構成力が要りますなあ!
あこがれます。
やりたいです。
しかし、TMSレイアウトモノ、こんなにあったんですね。見てみたい!
by 鉄わん (2015-04-15 10:55) 

EF510-230

おお、これらの本は私のバイブルです。いつかこのようなレイアウトを作ってみたいと思いつつ未だにできていません。
by EF510-230 (2015-04-15 11:30) 

Cedar

◼︎モハメイドペーパー様
レイアウトに侘び寂びの境地かぁ〜
モンカルラインのぐるぐるいっぱい、ヒゲいっぱいが今更気になるCedarは死ぬまで悟れない?
◼︎hanamura様
見てるだけで、手は出さないんですか?
鉄ニャンはレイアウトの山のてっぺんで居眠りがしたいらしいです。
◼︎12号線様
東武デパートのそれは、Cedarも記憶しております。
レイアウトの周は、いつもガランとして人の気配がなかったなあ。
そろそろゲームの時代で、子供の人気はそっちに移ったかも?
◼︎鉄わん様
いろんな意味で面白いです、特集シリーズ。
みたいならお貸ししまーす。
◼︎EF510-230様
レイアウト作ってみたい?お互いやるなら早くしないとそろそろタイムアウト?

by Cedar (2015-04-15 12:33) 

Cedar

★あるまーき様
★AKI様
★常武鉄道様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-04-15 13:07) 

Cedar

★シュウチャン様
★モボ様
★nd502様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-04-15 21:03) 

かわうそ

   Cedar様
  おお!!幻の名書が!!
  私が模型を始めたころは、同じ出版社の「レイアウト全書」、「レイアウ トモデリング」、「 レイアウトテクニック」、「ナローゲージモデリング」に加 え「シーナリーガイド」の5冊が仲間内では聖書のような扱いになってお りました。
  ジョン・アレンさんは、私が小学生の自分に亡くなったのですが、その 後、レイアウトが火事で燃えてしまったことを知り、ジョン・アレンさんが 自分のレイアウトをあちら側に持って行ったのだと、悪ガキどもは一種 の怪談のように噂していました。  

  自分は Cedar様よりたぶん年下なのですが、最近は昔語りが多く
  なってしまいます。すみません。
  
by かわうそ (2015-04-15 22:06) 

Cedar

◼︎かわうそ様
相変わらずの昔語りですみません。
Cedarにとっては『〜全書』以降は無縁でして…。
ジョン・アレンさんを知らないモデラーも多くなってしまつたのも時の流れですね。生涯独身だった彼は文字通りGD鉄道と連れ添ったわけです。
by Cedar (2015-04-15 23:00) 

Tad

転居の後片付けやらいろいろあってネットとはしばし無縁の生活でした。片付けが終わったわけじゃないんですけど,そろそろと見てみたら昔話。つい書き込みたくなりましたよ。

中尾さんのインタアーバンは,毎週のようにTMS編集部にやってきてたワディントンさんが見せてくれた写真の数々に刺激されてあっという間に作ったって話を聞いてます。見た写真を頭に焼き付けて,そのエッセンスをまとめ上げたセンスには脱帽ですね。

「私はレイアウトを作った!」の新田さんは,1960年代後半から70年代にかけて六本木で模型屋さんをやってました。明治屋の並びで,洋装店(ブティックっていつ頃から云い始めたんでしたっけね)の奥にありました。苗字からNEWナントカって店名だったと思いますが,思い出せません。新田さんは,方向幕が動く都電(1000形だったかな)も作ってますね。この模型,今はお宝鑑定士Hさんの所蔵品になってます。

宍戸博士のお宅は嵐寛寿郎が住んでた家って話です。そう云えば,お嬢さんが初恋の人だったと上岡龍太郎がお宅を訪ねる番組をTVで見たことを思い出しました。

モンカルの後藤さんの話もあるんですが,ここで書くわけにはいかないので,今度一献傾けた時にでも…。

GDラインは,火事で燃えたと云うより消防の放水のダメージの方が大きかったみたいですね。モデルも残っているのがそこそこあって,GDフリークにはまさしくお宝になってるようです。

今回の転居でかなり本を処分(多くは廃棄)しましたけど,特集シリーズはとってあります。すぐには出せない奥にしまっちゃいましたけど。

またぞろ何かとつまらん話を書くことになると思いますが,今後もよろしく。
by Tad (2015-04-15 23:53) 

Cedar

◼︎Tad様
お引越しなさることは聞いてましたが、もう少し先かなと思っていました。
中尾さんとワディントンさんの因縁はお話ききましたね。あのインタアーバンは、ムキ教の流行した時にちょん切り改造された。と何かで読んだ記憶がありますが、だとしたら残念ですね。
六本木のその模型店には、とれいんの広告を見て1度だけ行きました。
店名は『ソー・モデル』じゃなかったですか。あれが新田さんの店だったとは!都電1000は方向幕が横にスライドするヤツでしたね。

宍戸博士の記事は文章が分かり易かったですね。当時の執筆者は様々なスタイルの文体を持っていて、名文家そろいでした。
〜最近、模型誌をあまり読まないのは、文章がイマイチってのが大きい…大学の鉄研に宍戸先輩って方がいて、鴨鹿本線の宍戸さんの甥っ子だって噂が〜。
こちらも相変わらず夜が自由にならずですが、近々お会いしたいですね、今PCメールが受信出来ない状態でして。なぜか送信は出来るので、電話番号と携帯アドレスお知らせします。

長々しっつれいいたしやしたぁ〜!


by Cedar (2015-04-16 01:52) 

Cedar

◼︎Tad様
追伸、改めて新田さんのお名前をチェックしたらソウザブロウさんとおっしゃる〜店名は苗字でなく名前由来だったんてすね!
by Cedar (2015-04-16 02:02) 

Tad

ソーか,ソーでしたね。

中尾さんはインタアーバンを作り直してます。リタイアした後,鉄模連のショウで講演された時に現物を巡回で聴衆に見せてくれました。

引っ越しでメルアド変ってしまったので,御面倒でも会社宛にお知らせいただけると助かります。
by Tad (2015-04-16 02:30) 

Cedar

★たじまーる様
★DorakenBeginner様 nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-04-16 13:42) 

Chitetsu

昔のTMSのレイアウト特集シリーズは楽しかったですね〜。
今から見ると簡素な造りだったけど、夢は
今のレイアウトよりあった気がしますね。
今もたまに読み返すと少年時代のウキウキしながら見た記憶が蘇ってきます。
或るレイアウトの1日、なんて何回読んでも良いです。
by Chitetsu (2015-04-16 17:09) 

E.NUKINA

Cedarさん、
TMSのレイアウト特集は小学生の時からの愛読書でボロボロになったので全部2冊ずつ買いました。

モンカルラインは一番の目標で、
関連グッズを結構集めてしまいました。
この通りです。
http://homepage1.nifty.com/en/column035.htm

今作っているレイアウトはモンカルラインの現代版を目指しています。


by E.NUKINA (2015-04-16 19:09) 

Cedar

◼︎Chitetsu様
>夢は今のレイアウトよりあった〜
正にその通りです。夢=想像力→創造力ですから。
ちらっと記事の最後に書きましたが、再現力だけじゃないです。
◼︎E.NUKINA.様
モンカルラインは、日本のレイアウトの金字塔のひとつですね。
総裁専用車でレイアウト巡遊、って記事も大好きで、小学生の分際で記事の文章は暗記するくらい読みました。

by Cedar (2015-04-16 21:16) 

ひでほ

懐かしい本のUPありがとうございます。
当時、模型は高嶺の花。
駒沢に住んでいたころ、二子玉川の城〇学園という東急沿いの塾に通っていて、その日は二子玉川の鉄道模型屋に入り乱れていました。
いさみやさん、まだ存在するのか気になっています。

by ひでほ (2015-04-17 13:29) 

Cedar

◼︎ひでほ様
いさみやさんはまだ健在ですよー。
新製品も出して頑張りつつ、他では売ってない古い部品なども売っていて、鉄爺たちのサロンとなってます。

by Cedar (2015-04-17 15:26) 

Cedar

★ねじまき鳥様
nice!ありがとうございます

by Cedar (2015-04-18 08:42) 

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