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TG&TP~インタアーバンモデラーの2大バイブル [アート・本]

最近諸事情で休業中のわが模型。
アメリカンインタアーバン、しかもOゲージという、究極のマイナー路線もこのまま廃線か?という声も一部にはありますが、どっこいそんなつもりはありません〜今は旧作を鉄仲間との飲み会に持参してるだけですが・・
いささか古い本ながら、インタアーバンモデラー必読の2冊の本の紹介です。R1.JPG(1)
今でも時々眺めて、やる気出そうとします・・・
トロリーやインタアーバン(地下鉄も?)を含む『電車』をアメリカではTRACTIONと括るようですね。

一冊目はイリノイ・ターミナルのトラクションオレンジ荷電が表紙の『Traction Guidebook
R26.JPG(2)
実物鉄道の紹介から、車両解説、模型化のノウハウまで、ページ数のわりにびっしり要領よくまとまった構成で、写真図面が豊富で英語読まなくても(読めなくても)楽しく理解?できます。

これを見ると、インタアーバンがアメリカ独特のものだったのが、よくわかる気がします。

市内へ直通(多くは路面電車の軌道に乗り入れ)、郊外では専用軌道で高速運転して蒸気鉄道に対抗するスタイルは、日本でも、阪神や京阪、京濱(京急)などがお手本にしましたが、よろず規制の厳しい日本ではアメリカのやり方は再現されませんでした〜そもそも官設鉄道に並行競争線は許可されない、ってのが日本だったんですから。R10.JPG(3)

並行路線どしどしOK!自由競争&キャピタリズムの国アメリカならではの自由奔放さがインタアーバンの面白さですね。 

(4)路面電車の線路に新幹線並みにデカイ電車が走ったり・・・R3.JPGR23.JPG(5)
路面電車の線路からいきなり分岐して、巨大旅客ターミナルや貨物駅があるなんて・・IR TERMINAL 06.jpg
(6)これはインディアナポリスのインタアーバンターミナル。
阪急と阪神の梅田駅が一緒になって大阪市電の線路から分かれてる、ってなもんですね~異国の電車ファンが見ても痺れるシーンがいっぱいです。

食堂車に展望車、はては寝台車まで、自由奔放な車種のバリエーションもこの本で理解できます。
R9.JPGR16.JPG
(7・8)どうです、なんでもありな感じがする個性的な電車や電機たちでしょう。

この本は車両だけではなく、施設や軌道、架線などの資料が豊富なのが素晴らしいです。
トラクションのシンボル、架線の記述は古いものとはいえ、そもそもプロトタイプが古いので充分役立ちます。

R6.JPG(9)

この本は表紙に『FOR MODEL RAILROADES』と謳っているようにモデラー向けですから実物の架線を詳細に紹介したあと、模型化記事に移るあたり、わかり易い構成でイイです。

R7.JPG
(10)上右はゲージ別の架線高さのティンプレート、HOもOも実際に作って使っています。R8.JPG
(11)アメリカントラクションと言えばポール、しかも架線集電は当たり前ですから、手取足取りの解説が嬉しい・・でも実際やってみるとエライ苦労ですが・・架線分岐なんかなんどやってもうまくいかない・・・
トロリー運転中06.jpg
(12)


併用軌道の模型化も同様に実物&模型が図面と写真で親切に解説されています。R15.JPGR18.JPG
(13・14)

さらに、模型車両やレイアウトの作例も豊富に載ってます。R5.JPG
(15)

でも、ここに出てくる模型たち・・なんでもかんでもスーパ-ディティールな昨今のモケイからみたら、なんとも素朴なもの、DCCなんていうハイテクもカンケー無い。R19.JPG
(16)技術的には超アナログ、時代が時代ですからね・・でもCedarはこれで充分、乞食の引越しみたいなフルディティールは必要ありませんし、デジタル満載のモケイにもついけないし・・・
人の温もりがあるのがインタアーバンやトロリーの魅力〜とCedarは勝手に思っています。
(17)
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アメリカならではの自由奔放な電車たちのキレイな図面もたくさん載っています。

(18)ダブルルーフの連接車やら。R17.JPG

(19)パンタ+ポール+サードレールシューの3刀流やら。R14.JPG
この電車は海をフェリーで渡り。さらにはサンフランシスコのベイブリッジを渡っていたこともありました。

R12.JPG
(20)

タイプ別のレイアウトプラン集、これっていかにもアメリカならではのもの。R4.JPG
(21)

トラクション=小スペースでレイアウトが作れる、というのは住宅事情が日本とは大違いのアメリカでもメリットらしいです。場所があってもやる気とか根気が・・っていう御仁もいるでしょうし・・

そんな人にはトラクション!っていうのは日本でも言われましたが・・やはり、長編成の電車がスケールスピード400kmでかっ飛ぶ方が日本では受けるんでしょう。

日本に比べトラクションモデラーが多いアメリカでも、最近は実物の記憶を持つモデラーが高齢化→減少してしまい、最近トラクションモデルの本がほとんど出てないようですから、今でもこの本はバイブルとして価値を持っているわけですね。

そう言えば初版発行はいつなんでしょう?(調べりゃすぐわかるんですが・・)R21.JPG
(22)この本のパブリッシャーKALMBACH BOOKSも最近いろいろあったようで…。

時代は変わるのに、いつまでもインタアーバンじゃねえや!とはぜ~んぜん思いません。

インタアーバンよ永遠なれ!というところでR24.JPG
(23)PLANBOOKの紹介はまたの機会に。

ではまた。

 

 

 

 


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Tad

この2冊は“must have”ですな。で,あと
The Interurban Era
The Time of The Trolley
があればアメリカン・トラクションの模型と実物の概要が掴める。
この4冊持ってれば,誰でもアメトラを語る資格が持てますね。

今じゃ前者の本はネット(↓)で見放題,買う必要がない。
http://www.archive.org/stream/interurbanera00midd#page/n0/mode/2up

これって,いい時代なのかも知れないけど,何だかワクワク感には欠けます。ずっしりと重い本をひもとく充足感には乏しい…。
でも,持ってない方には何よりなんで,是非ご一読を。


by Tad (2015-02-20 00:11) 

Cedar

◼︎Tad様
早速のコメありがとうございます。
The Interurban Eraも取り上げてこの重さにインタアーバンの全てがある?とか書こうと思ってたのに…。
ネットで見放題とはなんだか腰が抜けますね。


by Cedar (2015-02-20 00:52) 

Tad

お先走りしちゃいましたね。申し訳ない。

ネットでもいいからこの本を読んで(見て),インタアーバンの面白さを感じ取って(正直云えば,惚れ込んで)もらえたらいいんですけど。
日本の電車とは違うところに惹かれるかどうかがポイントでしょうね。

by Tad (2015-02-20 01:15) 

のり

書店で本を購入して、持ち帰ってから心を落ち着けて開くまでのワクワク感…、ネット社会になってからすっかりそんな思いを忘れてしまっています。

地平時代の近鉄奈良駅付近が、この姿にやや近いかもしれませんね。
奈良がもっと規模の大きな都市で、市内電車があって、いろんな系統が走っていて、交叉点も分岐もたくさんあって…、そこに大きな近鉄電車が割り込んでいて…。
そんな感じでしょうか。
車種も雑多で個性が強く…

想像しただけでもワクワクしますね。
by のり (2015-02-20 07:02) 

Cedar

◼︎Tad様
のっぺりした長編成でかっとぶのがカッコいい!っていう若い電車ファンには、インタアーバンの良さを理解するのは難しいでしょうね。
実際、運転会なんかでは、地味に見えますからね。
◼︎のり様
大阪は市営モンロー主義の壁がインタアーバンの市内直通を阻んだそうです。心斎橋あたりに阪急、阪神、京阪、近鉄のユニオンターミナルがあったらなぁ、と有り得ないこと妄想したりして。
by Cedar (2015-02-20 09:45) 

Cedar

★AKI様
★hanamura様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-02-20 09:47) 

Cedar

★あるまーき様
★ひでほ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-02-20 12:36) 

なにわ

されど日本の電化私鉄の最初はここから始まってるんでしょうよ。
日本風に咀嚼していったことと、欧州、就中ドイツの影響を取り込んだのでしょう。ED14やEF51がEF58になってゆくわけですから。
御堂筋の拡幅は昭和になってからですから、阪神が福島~空心町経由、阪堺があべの~上六経由、大軌が上六~谷六経由で天満橋あたりにユニオンターミナルがあればと想像してみるのもよさげですが、上町台地の急勾配を如何せん。

業務連絡
Chitetsuさんへ
最近、貴ブログを訪れておりませんが、VISTAマシンでは止まってしまうので、しかたがないのであります。
二階建ての方のVISTAは毎日目の前を走っておるのですが。
by なにわ (2015-02-20 13:20) 

Cedar

◼︎なにわ様
日本の電鉄技術は精緻すぎる欧州製よりラフでもタフなアメリカ製が好まれたのはスペインやイタリアと同じです。
一方でソフト面での規制は昔から厳しい日本、いちばんキャピタリズム的な大阪でも駄目だったのは残念、名古屋あたりがインタアーバン的な運行してましたね。
by Cedar (2015-02-20 16:51) 

Cedar

★モボ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-02-20 21:14) 

Cedar

■なにわ様へ追伸
拙ブログは掲示板ではありませんので、他人様への連絡にお使いにならぬようお願いします。業務連絡というのもおかしな記述ですし~以後同様のあ場合は削除させていただきます。
by Cedar (2015-02-20 22:40) 

Cedar

★nd502様
★gardenwalker様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2015-02-21 06:50) 

京葉帝都

Cedarさんの「我が心のインターアーバン」とも言えるような熱い思いが伝わってきます。写真に出て来る車両はどれも意表を突いたものばかりでとても楽しく拝見しました。昭和初期の大阪はインターアーバンが似合う街だったかもしれません。天神橋駅ビル正面のアーチから新京阪のゴツい電車が飛び出してきて堺筋を路面で走行していたなら面白かったでしょう。

by 京葉帝都 (2015-02-21 15:25) 

Cedar

■京葉帝都様
>我が心のインターアーバン」とも言えるような熱い思いが~
ありがとうございます。小学生の頃、家から都電で行けた『つぼみ堂模型店』のウィンドウに、不思議なカタチでポールをつけた真鍮製の電車たちが並んでいたのが、インタアーバンとの出会いでした。
大阪はインタアーバンの街でしたね、天神橋の駅ビルはLAのPEビルがモデルだと思います。

★やまびこ3様
★ぷっぷく様
★二郎三郎様
★suzuran6様
★サットン様
★あおたけ様
★sonic様
★FTドルフィン様
nice!ありがとうございます

coachman

by Cedar (2015-02-21 22:02) 

56kuma

 ご無沙汰しています。
 ご紹介の資料、私も興味あります。私の場合、作画資料はネットで手に入れるよりも書籍を自分の足と金をつかって集めるのがポリシーですが、最近はアメリカのインターアーバンの資料が極めて少なく、もっぱら欧州や日本の車両イラストばかり描いています。
 米国のインターアーバンを取り上げた日本語資料と言えば、トラクションブックを除けば、鉄道雑誌に散発的にのる記事ぐらいしかなく(実物の資料ではなくフィクションなら、小blogの記事http://blog.livedoor.jp/isorokuma/archives/41610021.htmlでも取り上げた「うみまち鉄道運行記」というキーシステムをモデルにした架空のインターアーバンが舞台の小説があります)、どうしても入手しづらく、解読に手間取る洋書とか英文資料に頼りがちです。ですので、御blogの資料紹介の記事、とても楽しみにしております。こういった詳細な車両図面の入った資料があれば、私ももっと色々作画できそうなのでうらやましいです。
by 56kuma (2015-02-21 23:20) 

Cedar

★coachman様
nice!いただきながらお礼が遅れました、ありがとうございます。

■56kuma様
コメントありがとうございます。インタアーバンの資料は古い書籍に頼らざるを得ないのが現状ですね。何しろ実物が消えて半世紀以上経ってしまいましたから・
図面などは複製できないように撮ってるのはブロガーとしてのマナーですので悪しからず・・。もし必要な図面があればコピーをお送りするのはできますが・・・
by Cedar (2015-02-22 00:52) 

からんだ

これはすごい!写真を何回も眺めてしまいました。
レイアウトプランも図面も写真もどれも魅力的ですね。
トラクション=小スペース、といいつつ
紹介されているプランをそのままやろうとするとなかなか大変そうですが
見ているだけの妄想でも十分楽しめそうですね。

PLANBOOKのほうも楽しみにしています!
by からんだ (2015-02-22 09:18) 

インターワンワン

いやー、ほんと、こりゃすごいやー。
特にレイアウトプラン!
もっと見せて~
ところでインディアナポリスのビル、新京阪天六そっくりですね!?
by インターワンワン (2015-02-22 13:22) 

インターワンワン

追記  
あ。上のコメントでLAのPEのビルが似てる、とお書きでしたー。
マヌケですんません~
by インターワンワン (2015-02-22 16:09) 

Cedar

■からんだ様
これはすごい!と言ってくださりありがとうございます。
動画拝見しました。やはりトロリーの動きが面白くって~早く路面軌道や沿道の建物等が進むとイイですネ。
■インターワンワン様
レイアウトプランがご所望でしたら、次回コピーをお持ちします。
どうせ我が家じゃ作れないし・・・


by Cedar (2015-02-22 17:00) 

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