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サブウェイチェイスの名シーン! [映画・音楽]

前回のTQ渋谷駅跡のガーダーを見て以来NY地下鉄が気になるCedarです。今日はある映画のNY地下鉄シーンを見ていただきます〜
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1971年のアメリカ映画『フレンチコネクション』
有名な<サブウェイチェイス>シーンです。

主人公はフランス・マルセイユ〜NYブルックリンを結ぶ麻薬密輸ルートを断ち切ろうとするNY市警刑事、ヒートアップした彼の捜査ぶりがアクション&ドキュメンタリータッチで展開します。

渋谷のガーダーを見てから、この映画を久しぶりに観たくて、レンタル屋に飛び込みました。

マルセイユからNYにやってきた麻薬組織のボスが、主人公の刑事に追い回されるくだりでも地下鉄出てきます。
(3)電車の塗装、Cedarが始めてNYに行った時の色です〜懐かしいなあ。
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(4)刑事のしつこさに、ボスは殺害指令を出す・・かのシーンの伏線だったわけですね。
 
そして、クライマックスの<サブウェイチェイス>はラスト近く、殺し屋が刑事狙撃に失敗し、標的の刑事に追われて高架駅に逃げるところから始まります。狙撃は重厚なレンガ造りのアパートの屋上からでしたが、NYのあちこちにあるこの手のアパートは低所得者向け、ブルックリンやクイーンズの地下鉄線路沿いに今でもよく見られます。

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そもそも線路側は騒音や日照など環境が悪いとされ、下層階級の住むエリア、日本みたいに駅から○分!なんてのは彼の地では売りになりません。
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(6~8)追っかけの前半はオーソドックス(?)に、走る犯人と追う刑事、道路と線路の中階にある駅舎や改札の造りなど、EL(=地下鉄の高架線)のディティールがわかります
ELはシカゴやボストン、フィラデルフィアなども似たり寄ったりの造りで、規格部材でもあるのでしょうか?
(9)刑事がホームに駆け上がると・・・
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NYではお馴染みの3線区間。中央の線路は朝は都心行き、夕は郊外行き急行が走ります。見習えTQDT線!

どうやら反対側のホームにいるらしい犯人。刑事の鋭い視線が、急行の通過する寸前に柱の影から犯人が姿を見せるのを見つけるあたりの描写は、映画的職人芸です。
(10・11)
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ホームの駅名標が本物だとすると、この駅は、ホットドッグ早食い競争で有名なコニーアイランド近くという事になります。

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殺し屋が電車に乗り込んで、<サブウェイパニック>が始まります。

鉄にとっての興味は地下鉄の運転席の様子が写ること。
片隅式の狭いスペースにとても簡素な運転台、やたら広い全室式で客室より快適そうな何処かの国の電車とは大違いです。
(13・14)
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これは何ですかね。同じような機能のものは、我が国の電車にもあるのでしょうか?

さて、ここからが〈映画史に残る〉カーチェイスならぬサブウェイチェイス=地下鉄をクルマで追いかけるシークエンス。平べったい街並みを貫く盤広な道と延々と続く高架が、このシークエンスにリアリティを与えています。
(15・16)
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上カットには右に分かれる単線が見えていますが、コニーアイランドの地下鉄工場に繋がっているのでしょうか。
追いかけるクルマ、走る地下鉄、追いかけるクルマ。交互に写して緊張感を出す〜カットバックという手法はお馴染みですね。
(17・18)
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電車はR-42。’60〜70年代のNY顔はふっくら下膨れちゃんでした〜この顔好きです。
(19)交差点で横切る車を間一髪かわしたり~19-1.JPG

(20~22)通行人に危うくぶつかりそうになるのも、カーチェイスお馴染みの映像テクニックではありますね。
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とはいえ、緊張感を盛り上げるカットの連続は、何度見ても見応えがあります。

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(23)高架線の電車に追いすがるクルマを移動撮影したカットまで!~実はこの撮影、無許可だったとか・・

頭上を行く地下鉄車内のサスペンスは、キャブに乱入した殺し屋がMORTORMAN(=運転士)に銃を突きつけ、クレージーにエスカレートします。
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(25)停る予定の駅を通過していく~というお約束シーンもキチンと見せてくれます。22-1.JPG22-2.JPG
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(27)そして刑事は再び車に戻ってサブウェイチェイス再開!ってのが恐るべきしつこさです。19.JPG

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(28)ん?いつの間にかローカルトラック(各駅停車線)からエクスプレストラック(急行線)に移ってるのはなぜ?…ま、野暮な突っ込みは止めておきます。
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(29)犯人の声が運転司令に聞こえたんでしょうか?なぁんて。


線路と道路が離れる部分でも、追っかけは続きます、ここでは疾走する電車を刑事の顔越しに見せる〜これでもかこれでもか、という映像に思わず惹きこまれちゃいます。
(30・31)
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この映画、徹底したドキュメンタリータッチで描いた、と評価されてますが、実は計算され尽くした演出と編集の産物=上出来な見世物ってことなんです。

殺し屋が発砲したショックで運転士が気絶したまま赤信号を突っ走る、
その先には別の電車が止まっています。
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3線区間の中央線はラッシュ以外はstrage track=留置線としても使われます。
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(33)昔銀座線でも使われていた打子式ATSもばっちり写ってます。

(34・35)留置の電車はR-32、ぶつかっていくR-42より一世代古い形式です。
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カーブしたアンチクライマーと低く構えた密連、昔の京急の雰囲気ですね。
なんて〜映画のクライマックスで鉄ネタ書いてどうする!31.JPG(36)
…こうやってキャプチャの静止画を並べても、映画の迫力、緊迫感は全く伝わりませんね。
まぁ、分かっちゃいたんです〜映画にとってとても大切な編集の技が表現できない
じゃあ動画見せれば?と仰るでしょうが、それじゃぁつまんないのですよ。
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とか言ってるうちに、主人公が殺し屋を射殺して、このシークエンスは終わります。

こうなると、犯罪捜査というより、単なる返り討ちですね。

この後、ブロンクスの廃屋での、更に嘘寒いラストシークエンスがあり〜42.JPG(38)
後ろに見えている鉄橋は、現在ボストンへのアムトラックやアセラも通過する『Hell Gate Bridge』〜NYの鉄道ランドマークのひとつです。

(39)エンディングはふたたび地下鉄の高架下です、闘いは終わらず、というところでしょうか。
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てなことで、『死ねや駅』からスピンオフして見ていただきましたが・・・
動画を使わない映画の紹介はなかなか難しいなぁ

ではまた。

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シルフ

この映画大好きです。いまだに何度も見ますね。フリードキンの最高傑作。初公開の時に三回も見たぐらいだから。NY憧れます。
by シルフ (2014-10-12 09:33) 

なにわ

さてみなさん、脳内の浜村淳がナレーションをしてくれました
山手線でこれをやったらどうなるでしょうねえ
ATCが勝手に止めてしまうでしょうか
それ以前に乗務員室に入れませんね、D労さまさまですね
by なにわ (2014-10-12 11:16) 

Cedar

◼️シルフ様
私も年に2回くらい観たくなります。いまならCG使ってもっと派手に作るんでしょうが、それじゃ違うんだな。
最近そういう映画、減りましたね。
◼️なにわ様
アメリカのモーターマンやコンダクターの労働環境は日本よりはるかに劣悪ですね。過保護な日本の鉄道員じゃ勤まらないですね。

by Cedar (2014-10-13 00:32) 

Cedar

★モボ様
★FTドルフィン様
★ひでほ様
★やまびこ3様
★chocobo様
★sonic様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-10-13 00:35) 

Cedar

★hanamura様
★あるまーき様
nice!ありがとうございます


by Cedar (2014-10-13 11:05) 

hanamura

名作です。禿げカッコイイ~!あのころ少年は禿げたかった?
スコットランドで話題になった元祖ボンドのショーン・コネリー
ダイハードのブルース・ウィルス
トランスポーターのジェイソン・ステイサム皆カッケーなぁ、もう!
あのころの少年は、念願が叶いつつありますがぁ・・・。
by hanamura (2014-10-13 11:22) 

semitaro

いえいえどうしてこの名作、映画にも博識のCedarさんの今回のブログ、凡百の映画評論家のおよばない、鉄に関する細部の解説でおもしろさ倍増、たとえ動画がなくても再認識させてくれました。
by semitaro (2014-10-13 13:59) 

Cedar

■hanamura様
いわゆるガイジン禿げ?あれは確かにかっこいいいです。
この映画だとジーンハックマンより、殺し屋の禿げ方がかっこいい?
■semitaro様
過分なお言葉ありがとうございます。
動画で紹介しない!ってのに拘ってるのは確かなんです。
この映画は編集テクニックで如何に手に汗握らせられるか!の教科書です、今ならCGでワンカットで見せちゃう。

★nd502様
★takechan様
nice!ありがとうございます

by Cedar (2014-10-13 21:37) 

Cedar

★さらまわし様
★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-10-14 12:24) 

京葉帝都

ハラハラドキドキの展開を楽まさせていただきました。せっかくなのでDVDを借りて観たくなりました。
ブルックリンやクイーンズの住宅街はET(高架線)の両側は、騒音や振動で大変でしょうが、高層建築が殆どないので広い空が広がっているところが魅力的です。
クイーンズで地元の人と言葉がうまく通じずトラブルになりそうだったので、申し訳なく撤収して近くの地下鉄の駅まで走って階段を駆け上がってホームに出たことがありました。この時「まるでフレンチコネクションみたいだ!」とつぶやいたことを思い出しました。
ヘルゲートブリッジは豊かな時代のアメリカを表すモニュメントでもあります。この高さとスパンで複々線仕様とは驚きです。この鉄橋と両サイドの高架線をニューヘブン鉄道のEL牽引の列車や正面が丸窓の武骨な電車が走行する写真を見たことがあります。
by 京葉帝都 (2014-10-14 15:50) 

Cedar

◼️京葉帝都様
クイーンズでのエピソード、カッコいいですね!
まあ、NYではマンハッタンから出ると英語が通じないのは日常茶飯事ではありますが。
ヘルゲートブリッジは1度だけボストン行きアムトラックで通過しました、あのスケールはアメリカならでは!同行者がビデオ回してましたがマンハッタンを半周する感じです。


by Cedar (2014-10-14 21:19) 

Cedar

★taharas様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-10-18 02:48) 

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