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正月に名著再読(その2) [アート・本]

Cedarがかって影響を受けた鉄の名著を、ほぼ非鉄だった正月休みに再読したお話。鉄分達人04.JPG(1)
2回目(2冊目)はこちらです。高校生のころ『鉄道ファン』に載っていた堀さんの記事の文庫化でした。 軽便鉄道ならぬ軽鉄道、という言葉も堀さんの記事で初めて見ましたね~
今でこそLight Rail(軽鉄道)=近代的路面電車はポピュラーですが、堀さん独自の軽鉄道の定義を何かに書かれていたらしいです。
鉄分達人06.JPG(2)
アメリカのインタアーバンに興味が湧き始めたころなので、初めは横目で斜め読む程度でした。
ところがヨーロッパネタでもSLや特急列車ではなく、田舎電車や路面電車が次々紹介されるのが珍しかったのと、町並みや花、人物を入れた『シャイな』フレーミングにも惹かれていきました。鉄分達人05.JPG(3)


いわゆる『正統派鉄道写真』に興味無かったにも拘らず、当時の仲間の雰囲気に引っ張られ、築堤を行くSL列車をインカーブ&7対3のアングルで撮ったりしてた=いや、ホントですょー=Cedarには、堀さんの記事と写真は目からウロコって感じでした。


鉄分達人29JPG.JPG鉄分達人30JPG.JPG
(4・5)すぐ影響され易いお調子モノ高校生は、昭和42年東北電車巡りでは、堀さん風に迫ってみたくなり、同行した父が台車やメカ寄りに撮りたがるのと対立?したものでした。

(6・7)電車の手前に人を入れたり~鉄分達人33JPG.JPG鉄分達人37JPG.JPG

(8・9)電車を街景色メインの引きで撮ったりしました。鉄分達人31JPG.JPG鉄分達人32JPG.JPG

結果的には2人の視点で今残るライブラリーが充実(!)したわけですが。

ついつい、堀さんの本から脱線しました。
堀さんの記事はテキストも電車オンリーでなく、周辺の町の描写や、乗客や乗務員、沿道の人々との淡い交流が書き込まれているのが他の『純粋鉄記事』とは一味違っていました。

鉄道仲間の中には『気分ばかりで資料的価値が無い』と言ってた奴もいました~まあ生意気盛りでしたから~
ものぐさ&シャイなCedarはこんな視点で記事書ける堀さんは凄いなあ、と秘かに思ってました。


当時多かったPCCカーのヨーロッパ版が多く紹介されていたのも、アメリカ電車べったりのCedarが堀さんの記事に惹かれた理由でした。
鉄分達人25.JPG(10)
ハーグの初期形はアメリカPCCそのもので、巨大なパンタグラフがなかなかカッコいいです
その後ヨーロッパトラムの標準のひとつだったデュワグカーも、PCCの血をひいている部分がありますね。

Cedarはヨーロッパ鉄体験は極めて乏しく、堀さんの記事に出てくる電車は殆ど未体験ですが、例外がリスボンでした。
鉄分達人16.JPG(11)
堀さんの記事の時代からだいぶ後でしたので、本の路線図(↑)とは較べモノにならない淋しい路線しか残ってなかった。

リスボントラムアルファマ01.jpgリスボントラムアルファマ04.jpg
(12・13)今や超有名なアルファマのギリギリ区間も、堀さんの記事で初めて見て以来、永らく憧れ続けていた場所でした。
リスボンアルファマ急坂大サイズ.jpg(14) 

市電(エレクトリコと呼ばれていました)の線路に近い安ホテルを見つけ、予定より長い滞在6日間~

リスボントラムアルファマ05.jpgリスボン車窓歩道.jpg
(15~18)
リスボントラムアルファマイメージ.jpgリスボンホテル近く02.jpg

3日ほどエレクトリコに付き合っているうち不思議なことが・・・どこを見ても見たことあるようなシーンに感じる~デジャビュ感の連続なのです。堀さんの記事に始まって写真や雑誌を、見たりしらべたりしすぎたからでしょうか

(19)超低床の新形連接車も投入され新旧のすれ違いも見られました。リスボンコメルシオ広場、新旧大サイズjpg.jpg
観光電車も運行されて被写体には事欠かないのに~なんだかやる気が出ませんでした・・・。リスボン観光電車.急坂大サイズjpg.jpg

(20・21)=赤い観光電車はなかなかの人気でした、私は乗りませんでしたがリスボンアルファマ観光電車すれ違い大サイズ.jpg
滞在2日目に電車内でスリにあってしまったのと合わせて、リスボン名物のサウダージ(※)な気分になってしまったのかもしれません。
今はどうか知りませんが、Cedarが訪ねた頃のこの街はなんだかやる気をなくさせるような<ゆるい空気>が流れていました。堀さんのリスボン滞在記にもそんな気分が書かれています。

 

 ※サウダージ(ポ語)憂愁・旅愁→くつろぎ、ゆったり感

(22・23)
リスボンバイシャクロス分岐大サイズ.jpgリスボンバイシャクロス大サイズ.jpg

なんだか、堀さんの本の紹介なのに、Cedarの写真ばかりですみません。

堀さん風のショットを集めてるつもりなんです。

リスボンケーブルカー.jpg(24)

私の知る限り、リスボンの電車を日本に初めて紹介されたのは、堀さんでしょう。


この本に出てくる電車や路線はあるものは廃止、あるものは近代化で大変身、など凄い変わり方だと思います。
ハーグ.jpg(25)
例えばこれはオランダハーグの現在の姿です。

でも、どこの電車にせよ、堀さん独特の優しい視点で撮られた写真から感じる『生活と電車が至近距離』なフィーリング、あるいは『町並みや地域の文化に溶け込んだ電車』は、Cedarが無意識に永らくお手本にしてきたものだった気がします。

2003リスボンモノクロ02.jpg(26)
堀さんの記事に感じるセンチメンタリズム(憂愁などという言葉が出てくる鉄記事など当時あまり無かった)も、Cedar自身がのちに外国旅行で時折経験したものでした。

2003リスボンモノクロ03.jpg(27)
それにしても、あの時代にこれだけあちこちの軽鉄道を巡られたのはやっぱり羨ましい限りだ、と再読して改めて思った事ではあります。


というわけですが、最近の鉄ブームのなか、たくさんの本が出てますがこのお2人を越えてない、と思うのはCedarの歳のせい?鉄分達人01.JPG
宮脇さんの文章力+堀さんの写真力を目指してるんですが~絶対無理ですね!
では、このへんで・・





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うたに

列車を撮る時、どの程度風景を入れるかというのは、なかなか難しいですよね。
路面電車は街のど真ん中を走るので、賑やかな街の様子を入れた方がいいかな〜?とか、色々考えてしまいます。
そして、私の場合何とも中途半端な写真になったりするわけですが…f^_^;
by うたに (2014-01-14 10:46) 

EF510-230

堀さんの軽鉄道の本は私の教科書です。これを見てインスブルックの郊外電車を見に行きました。福島は駅前で見ただけで、未舗装の併用軌道で撮られたCedarさんがうらやましい限りです。リスボンのケーブルカーは落書きだらけで悲惨ですね。市電が無傷なのは車庫に納められているからでしょうか。
by EF510-230 (2014-01-14 11:10) 

軽犬

Cedarさん、
インスブルックもリスボンもステキですが
東北電車ツアーがもっとステキです!
もっと見たい!
あと、掘本の表紙の次の写真の一番上、窓のRといい、なんといってもカラーリングが!
まるっきり京阪やんけ!
おっちゃんのは痴鉄色になりましたが、なんかこーゆーのの模型も欲しくなりますなあ!
by 軽犬 (2014-01-14 11:23) 

なにわ

連載当時の記事を見ると、中欧の小鉄道の元気さと、北欧の滅び行く路面電車が想起されます。生き残ったところも変身せざるをえないのですが。
サウダージな気分を味わいたかったら、某ヒット曲を聞くよりも、奈良盆地の真ん中に来なされ。
生駒、信貴に落ちる夕日を見ていたら、悠久の時の流れを感じますぞ。
by なにわ (2014-01-14 12:15) 

Cedar

■うたに様
路面電車や郊外電車はやはり生活と近いので、人や町並み、クルマと被った方が味がある。という事に気付いたのは堀さんの影響です。
でも撮影当時はおいおい!と思ったりしましたが~。
■EF510-230様
堀写真には痺れたものの、やはCedarはアメリカンエレキでやってきました。イタリアやスペインのアメリカンな電車は追っかけましたが~。
■軽犬様
堀写真にかぶれた東北電車ツアー、紹介は拙ブログの前記事にあります。
あの時代の日本の田舎の町並みは今より絶対美くしかった!
■なにわ様
生駒信貴でサウダージ!なるほどって感じです。
旅の空で、妙な空虚感、脱力感と戯れるのは結構好きでした。

★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-01-14 15:53) 

hanamura

やはり、人や風景を入れるのですね!最近心がけていますがぁ・・・ヘタクソは直りません。とりあえず私は、図書館でもっと鉄道資料を読みふけることにします。ホント勉強不足のにわか鉄、自称:飲み鉄であります。
by hanamura (2014-01-14 18:01) 

Chitetsu

堀さんのこの本、私も大好きです。
これ見ているとヨーロッパの街に行ったような気分になりますね。
リスボンもこれ見て行こうと決心した気がします。
26のお写真、痺れますね〜。

あと…
宮脇さんの本も愛読書です。
自分はインド旅行の本を何度も読み返しました。
by Chitetsu (2014-01-14 19:08) 

やまびこ3

私も堀さんの著作を読んで、ヨーロッパの電車に憧れました。
何回も行ったのですが、家族旅行では電車乗り、撮影は難しいですね。
by やまびこ3 (2014-01-14 23:30) 

のり

楽しませていただきました。
堀さんの本は、どこかてチラ見した記憶があります。素敵な写真が満載でした。
路面電車は、人と電車の距離(実際の距離も、心の距離も)が極端に近いので、必ずと言っていいほど、人が写り込みますね。それが、路面電車独特の味のある風景になるのではないかと思っています。昔の写真を見返していますと、狙った記憶が全くないのに、子供を背負ったお母さんが写っていたり、電車道で遊ぶ子供達が写っていたりします。それが日常の風景なのでしょう。変に構えた写真よりも、そんな風景を捉えた写真の方が、私は大好きです。
by のり (2014-01-15 07:14) 

はーさん

スイスの軽鉄道?マイナーレイルウエーと言いますか?1000mmゲージ以下のナロー鉄道は素晴らしいですね。中でも、レーティシュ鉄道はアルブラ線とベルニナ線が世界遺産になりましたね。特に、サンモリッツからイタリアのチラノに達するベルニナ線は、素晴らしく、ツァーの目玉になっています。メーターゲージで100パーミルの急こう配を粘着だけで登り、オープン8の字カーブを行き、村の道路を併用軌道を走る電車やEL牽引の列車は絵になりますね。2日ほどかけて、沿線を巡り、ゆっくり撮りたいものです。
by はーさん (2014-01-15 10:31) 

京葉帝都

堀さんの軽電車と街と人々への視点はとても参考になります。大切にしたいです。建物の谷間と坂道、石畳の軌道を走る単行電車には痺れました。とても日本では見られない光景です。
先日、富山県の万葉線に乗車しました。米島口〜庄川口の工場地帯や併用軌道、庄川と内川の橋梁などとても魅力的でした。駅によっては発車してからもう一度信号の前で停車する運転でした。

by 京葉帝都 (2014-01-15 13:21) 

Cedar

■hanamura様
>やはり人や風景を~
風景はまだ良いですが、人が入った鉄写真は昔はボロクソに言われたものでした。~飲み鉄、良いですね!
■Chitetsu様
堀さんの本は、斯界の巨匠(!)にも影響大だったわけですね。
高校~大学以来、ずっと堀さんモドキのCedarでありますが、ひとつ違うのは、堀さんは汚い危ないエロいエリアは題材にしないっていう所かな?
■やまびこ3様
家族旅行での撮影~海外だと確信犯でないとほぼ無理ですね。
ヨーロッパもスイスなら何とかなりそう。
■のり様
全く同感です!でもCedarが学生時代は『英国流正統派鉄道写真』全盛でしたから、人なんか写ってたらボロクソでした。
■はーさん様
レーティシェ鉄道は人気ありますね。赤い列車はCMにも登場してましたね。Cedar的にはもう少しギリギリ感が…。
■京葉帝都様
万葉線も赤い低床車や除雪用DLなど、ヨーロッパ風な新車を見に行きたいものです。



by Cedar (2014-01-15 23:24) 

Cedar

★シュウチャン様
★takechan様
★teftef様
★suzranp6様
★FTドルフィン様
★ぷっぷく様
★yogawa隼様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-01-15 23:32) 

Cedar

★ねじまき鳥様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-01-16 00:21) 

Cedar

★ひでほ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-01-18 20:13) 

からんだ

こんばんは、はじめまして。
Nゲージで鉄道模型をやっています、“からんだ”と申します。

私も、路面電車とインターアーバンの電車がとにかく好きで、
Cedar様のブログは以前より(こっそり)拝見しておりました。

今回、ブログにて紹介されていた「ヨーロッパ軽鉄道の詩」
興味があって、古本屋で買ってきましたが、素晴らしい本でした。
私の生まれる20年近く前の本ながら、“活字が躍る”というんでしょうか、
読みながら、在りし日のヨーロッパ軽鉄道の風景が次々に脳裏に浮かんでまいりました。
素晴らしい作品のご紹介、ありがとうございました。

長岡分岐点に始まる福島交通の写真や、リスボンの写真も、羨ましい限りです(^^)
by からんだ (2014-01-18 20:43) 

Cedar

■からんだ様
コメントありがとうございます。こっそりではなくよろしくお願いいたします(笑)。
ガチガチ車両オンリーの鉄道写真が嫌いなCedarは
堀さんの写真にずっと影響されています。

最後になりましたがこれからもよろしくお願いいたします
by Cedar (2014-01-18 21:46) 

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