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『うぉんちゅう~♪』 [映画・音楽]

という印象的な歌い出しでヒットした、南佳孝の『スローなブギにしてくれ』スローなブギ~02.JPG(1)
この曲を主題歌にした1981年公開の映画のお話です。
『オイオイ、鉄ブログでこの映画かよ~?』とおっしゃらないで下さい。鉄気分とはおよそ縁遠そうなこの映画にも幾つかある鉄シーンを、マニアックにキャプチャしました。

まずはタイトルロール=都心から郊外へ首都高速を移動していくクルマから見える昭和東京風景=ここでは赤ベース塗装時代の東京モノレールや新幹線0系とタイミング良くクロスするシーンが出てきます。スローなブギ~03.JPG(2)
Cedarの経験で言うと、これ、両方とも計算して撮影してますね。スローなブギ~05.JPG(3)

お話は片岡義男の原作とはほとんど関係なく、ダラダラと生きている中年と若い男女の怠惰な日常(あの時代らしい!)が描かれて、原作のお洒落な空気は皆無です。
一説には原作のシナリオ化に苦戦していた藤田敏八監督に、角川春樹サンが『原作は無視して下さい』と言ったとか。
スローなブギ~06.JPG(4)

そのせいで、ハワイか西海岸の風吹く片岡ワールドと無縁な、雑駁な国道16号気分(!)が濃厚に漂っています。なんたって山崎努+古尾谷雅人でお洒落なはずがない。

(5・6)
スローなブギ~07.JPGスローなブギ~11.JPG

この映画を鉄道という視点で観る人はほとんどいない(いなかった)と思います。印象に残る乗り物は中年男のムスタングと、若者のバイクですし・・更にはこの映画でデビューした浅野温子サンでしょう、今ではお宝の大胆シーンもたくさんありますから。

そんなこんなで鉄なシーンの最初は、主人公の中年男が住んでいる福生あたりの米軍ハウス、すぐ庭先を八高線が走っている、というロケーションです。スローなブギ~08.JPGスローなブギ~09.JPG
(7・8)昭和50年代ともなればキハ35も首都圏色(=タラコ色)と呼ばれた暑苦しい一色塗りになっていました。

同じ場所の朝には、撮影に行ったお仲間も多いセメント列車の最後部が写っています。

安全側線脱線分岐が見えているので、駅の構内なんですね。スローなブギ~10.JPG(9)
切り返して家の側から見たショットには、奥に短いホーム上屋も見えています。非電化時代の八高線は地方ローカル線ムードがいっぱい。スローなブギ~12.JPG(10)スローなブギ~13.JPG(11)

ムスタングは横田基地のフェンスをかすめ、16号線を横浜へ~

浅野温子サン演じる奔放な少女(ってのは、これまた当時の映画ヒロインの典型キャラでしたね)の家が横浜のココ、という設定。片岡義男じやなく日活ロマンポルノの世界です。スローなブギ~14.JPG(12)
京急高架下に広がっていた有名なあやかし地帯。日の出町駅に向かって行くダルマ電車800系は、まだ窓周り白の時代です。

スローなブギ~15.JPG(13)
暑苦しい部屋を見下ろして、旧1000系が行く。実際あの辺りが盛業中には、Cedarも電車で通る度に窓下が気になったなぁ〜なんて。スローなブギ~16.JPG(14)
今ではすっかり浄化(?)されて、アートギャラリーなんかになっているようです。

こういう場所が、あちこち鉄道沿線にあったのも、昭和の頃までですね。


(2010年くらいにCedarが撮影した上の場所あたり)
大岡川03R.jpg黄金町.JPG

再び福生へ~タラコ色のキハ35から降りた浅野サンと駅舎です。この駅、調べてみたら東福生駅のようです。ちなみに電化後は跨線橋上に出札改札口が出来て、この駅舎は倉庫として残ったとか。
スローなブギ~17.JPG(15)スローなブギ~17-2.JPG(16)
駅前ロータリーの夏景色、福生らしくガイジンの子供が出てきても、アメリカンというより台湾映画気分が漂うのは確信犯的演出でしょうか?

グズグズな2人の関係は説明しませんが、再び男のクルマで送られてきたシーン。
ココにも鉄が?よーく観ると、背後を相鉄7000系らしき電車が横切ります。切通しになった東名を相鉄本線が跨ぐのは相模大塚の近くでしたっけ?
スローなブギ~18.JPG(17)
いやはや、ここまでくると、我ながら些か阿呆らしい〜単なるフェチですね。

浅野温子サンと古尾谷雅人クンが青春してるっぽいシーンは、厚木基地への貨物線ですかね。この線のおかげで、相鉄の丸っこいELは長生きしましたが、それも今では思い出です。スローなブギ~19.JPG(18)

バイクと若い男女。やっとちょっぴり片岡義男的なシーンですが、バックが小田急江ノ島線では、ワイハの風は吹きません。馬鹿を承知で書くと、走る電車は吊り掛け4000の3連×2です。スローなブギ~20.JPG(19)スローなブギ~21.JPG(20)

(21)こんな東福生ショットも出てきました、DE10+ヨ80000~ホッパーの編成でした。スローなブギ~23.JPGスローなブギ~24.JPG(22)
浅野サンと中年男の不可思議な関係が終わるシーンでは、タラコ色のキハ20467がバッチリ登場します。隣のキハ35(?)には前面強化の枠が付いています。スローなブギ~27.JPGスローなブギ~28.JPG
(23・24)なんとキハ20467は碓氷鉄道文化むらに保存されてるんですね。このシーンのせいじゃないでしょうが。

福生~相模大塚~横浜黄金町という、16号線縛りの物語は、なおも季節の移ろい共にぐずぐずと展開していきますが、黄金町の例の部屋以外の鉄シーンはありません。スローなブギ~25.JPGスローなブギ~26.JPG
(25・26)またもやツートン時代の800系登場。
しかし片岡義男サンと黄金町は違和感ありありですね~カットとしてはなかなか良いですが!

(27・28)エンディングが虚しいのも、当時の映画によくあるスタイルでした。スローなブギ~29.JPGスローなブギ~30.JPGスローなブギ~31.JPG(29)

そんなわけで、『うぉんちゅう~♪』と片岡ワールド換骨奪胎しまくりの映画『スローなブギにしてくれ』の鉄シーンでした。


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のり

どんな映画でも、鉄っぽいシーンが必ずと言っていいほど登場しますね。
その、わずかな鉄っぽいシーンに目を奪われてしまい、ストーリーが一瞬空白になって、お話の展開がわからなくなってしまう……、哀しい性ですね。
と思いつつ、高架下などで通過してゆく電車の編成両数を無意識のうちに数えている自分が哀しいです(笑)。
by のり (2014-07-10 08:39) 

Cedar

◾️のり様
鉄っぽくない映画でも、場面転換や動く背景として便利に使えるのが鉄道、静的画面にリズムをつけたり、場所移動を一瞬で理解させたり。この映画では福生のダラけた生活シーンとタラコ色の八高線が妙にマッチしていました。
by Cedar (2014-07-10 09:35) 

なにわ@仕事サボり中

浅野温子のデビュー作って高校大パニックじゃありませんか?
あっちは廃止間際の西鉄福岡市内線が出てきますが。

南佳孝はモンロー・ウォークのほうが好きです。
セクシー・ユー?知らんなあ(大嘘つき)
by なにわ@仕事サボり中 (2014-07-10 10:31) 

Cedar

◾️なにわ様
高校大パニックってのもありましたね。
南佳孝氏は摩天楼のヒロインってアルバムが良いですね。

by Cedar (2014-07-10 11:07) 

Cedar

★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-10 17:34) 

hanamura

駅の無い綾瀬市にも、昔住んでいましたがぁ・・・。あぁ~雰囲気あります。普段一時停止しない踏切(基地への引き込み線路)は、よく通過しました。
by hanamura (2014-07-10 17:46) 

Cedar

◾️hanamura様
綾瀬にはN自動車の施設があって、そこには仕事で何度か行きました。
あの引き込み線も今や無くなりましたね。

★sonic様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-10 18:46) 

EF510-230

八高線の駅はひょっとして金子駅でしょうか。道路横を走るシーンも金子坂あたりでしょうか。Cedarさんとご一緒に行ったあの場所のように見えました。
by EF510-230 (2014-07-10 22:19) 

Tad

この映画,試写会で見たっきりなんで内容はまったく覚えてないなァ。

(4)は馴染みの風景。東名の東京料金所に用賀方面から向かってるとこですね。

(9)は脱線分岐器?

> 片岡ワールド換骨奪胎しまくり

「換骨奪胎」って,本来の意味からすると悪くなったってことじゃないんですけど,今はそっちの意味に使うのが増えてきたみたいなんで文句はつけません…。

南佳孝で思い出すのは,モンロー・ウォークの入ったアルバムが出た直後のこと。そっち関係の仕事をしてすっかり彼に惚れ込んだヘアメイク嬢に,都内~房総半島を往復したロケバスの中で,そのカセットを流しまくられて閉口したことがあります。「ヨシタカ,ヨシタカ」の連発にも参りましたが,同じレコードを何時間も聞かされるのは地獄…。どんないい曲だって厭きますよねェ。
きれいな人だったらまだいくらかは我慢できたかも知れませんが,今はどうか判らないけど当時この手の横文字職業婦人に美形は少なく,彼女もご同様に絵に描いたような醜女だったからなおさら腹が立ったぞ! 惚れられたヨシタカサンもさぞいい迷惑だったでしょう。まさに醜女の深情け。

そう云やチャップリンのサイレント・ムーヴィに「醜女の深情け」ってのがありました。これ,パシフィック・エレクトリックの電車が出てくるんですが,初期チャップリン物には結構P.E.が出てくるんで,何かの機会があったら是非取り上げてくださいまし。
by Tad (2014-07-11 02:09) 

Cedar

◾️EF510-230様
金子!行きましたねぇ!お互い渡世の義理のSL撮影でした。
でも映画の駅はやはり米軍ハウスのあった東福生のようです。
DCのカットは金子坂ですね、浅野温子は高崎に帰るってことになりますね。
◾️Tad様
当時の南佳孝はギョーカイの人気者でしたねぇ。ロケバスのBGMってのは日本語は疲れるんで、洋楽がメインでした。
オーストラリアロケの時に植木等(キチガイ猫)かけたら異様に盛り上ったことがありました。
スラプスティックとPEはいつかやりたいですが、纏めがむつかしい。

by Cedar (2014-07-11 10:18) 

Cedar

★あるまーき様
★やまびこ3様
★yogawa隼様
★nd502様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-11 10:25) 

Cedar

◾️Tad様
追伸。換骨奪胎に関してですが、原作と関係いこの映画の気分、Cedarは嫌いじゃないんです。
東京都下や川向こうな空気が濃厚に描かれているなぁ〜と思うので。

by Cedar (2014-07-11 10:49) 

Cedar

★ひでほ様
★SpeedBird様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-12 09:25) 

suzuran6

私、会社でFAXの送信票に宛先を書きながら良く歌ってます。
「オンチュウー」(御中)・・・(^_^♪)
by suzuran6 (2014-07-12 18:09) 

Cedar

■suzuran6様
あはは、実はCedarも<御中>の字を見るたび、あのメロディが!

★arail206様
★CASCO事業部様
nice!ありがとうございます



by Cedar (2014-07-12 21:35) 

Cedar

★UZ様
★gardenwalker様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-13 06:59) 

Cedar

★FTドルフィン様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2014-07-13 23:15) 

Cedar

★シュウチャン様
★J-power様
nice!ありがとうございます


by Cedar (2014-07-15 15:25) 

げろやま

93年から2年間だけ、げろやま…じゃなくて毛呂山市に住んでました。東福生駅前の銀行に行く用事ができた時に、毛呂駅から八高線に乗りました。あの当時、ブオーンドドドドゴトゴトって感じの列車ですね。夏はあぶや蝉が入ってきてパニックになりました。東福生駅は、今振り返ると「赤線駅」って感じ。タイル装飾がされている駅舎でしたもの。今、変わってしまったんですね。
by げろやま (2015-01-08 22:11) 

Cedar

◼︎げろやま様
八高線電化前の雰囲気がよくわかるコメント、ありがとうございます。タイル装飾〜たしかに赤線っぽい。分かる人は少ないでしょうが…。
by Cedar (2015-01-09 00:41) 

yam

ヒロインさち乃さんの実家は現存しているみたいです。
揚げ足とる気とかは全く無いので気に障られたら本当に申し訳ない。
Cedar様は多分太田橋と末吉橋の中間辺りから対岸を撮影されているのだと思いますがロケ地は黄金橋と旭橋の間のようで、現在もGoogleマップでそれらしきトタンの家が確認できます。
これはロケ地の現在を撮影されている方の感動的なblogで知ったことでなぜかこの映画の最も印象的なシーンがあの家だった私は世界で一人このトタン家にこだわってます(笑)
Cedar様のblogは読み込んでしまいました。
私は出身は地方なので当時の空気が感じられて素晴らしかったです。
by yam (2016-08-21 17:23) 

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