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なんじゃこりゃ~?(インタアーバンは面白い・その1) [海外電車汽車、今昔]

このブログでも、折に触れてお話ししてますが、私はアメリカのインタアーバン(都市間電車)に興味があり、資料や模型の収集もやっております。

~20世紀初頭から全米にあっという間に広まって、自動車の普及につれてバタバタと消えていったインタアーバン。その路線網は一時はニューヨークからシカゴまでインタアーバンだけで行ける、とまで言われていました。そんな中から、<これは皆さんにご紹介したい!>と思う車両や話題を、シリーズでお届けしたいと思っています。stark01R02.jpgその1回目はこれ~一見どこかの街角のドアのようにも見えるのですが・・?

左右に細長い窓がついていて、右側には古いポール電車には時折見かけるパーツもついています。

インタアーバンといっても広いアメリカのこと、実にいろいろな電車があり、そのデザインは自由奔放というか、なんじゃこりゃ!(松田優作)ってのもたくさんあります~自由形の電車のデザインを考えていて実物には絶対ありえない~」というアイデアを思いついても、インタアーバンに同じものが実在していた!~そんな感じです。その中でもこれは凄い!

(DAVE’s ELECTRIC RAILROADから=禁転載stark01R.jpg  これがオリジナルの写真です!なんとエンド部分に乗降口があるんですね!普通の電車なら貫通扉になってるところが出入口・・この写真のように路面区間はともかく、専用軌道区間ではどうやって使うのでしょう?踏切を通り過ぎたところで停車し、おもむろにドアを開けて客が出入りする~なんて姿が見たいですね。

運転台はどこにあるんだ?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、この電車は片運転台でこちらには運転台は無いのです。屋根上にチラッとポールが見えていますが、この電車は一方にしか走れないって事で、終点ではループ線で向きを変えるのです~日本の電車も創業時代の京急や阪急には、ループの終点があったらしいです。

別なアメリカのサイトには、次のようなことが書かれていました~

The Stark Electric Railway Trail is a former interurban rail line that ran from Canton to Salem via Louisville, Alliance, and Sebring from 1902 to July 15, 1939. The railroad was nicknamed the Bachelor Railroad※ because most of its executives were unmarried. Through the 1930s the line was busy, but buses were less expensive to operate and the train eventually ceased operation.

アメリカの中部を走っていたStark Electric というインタアーバンの電車です。一般的な歴史の記述より、この鉄道が「チョンガー※鉄道」と呼ばれていた=なぜならこの会社のエグゼクティブのほとんどが独身だったから~というのは面白いです。ひょっとして経営者が女にモテナイ(興味が無い?)電車オタクの集まりで、そのためにこんな変な電車が出来たのかも? ※チョンガーって言うのも今や死語ですか?結婚しない男のことですが・・・
  

(DAVE’s ELECTRIC RAILROADから=禁転載stark02R.jpg   運転台側がまた凄い!Windspritter呼ばれた超流線型です~風を分ける~空気抵抗を弱めてスピードアップするためにデザインされたというこのデザイン、実際には精々100km程度では効果あるはず無いですよね。にもかかわらずこの形は他鉄道にも見られましたが、この頭とあのお尻の組み合わせは空前絶後でしょう。よく見ると先頭中央窓は曲面ガラスのようだし、きっとそれなりに金と力かけて造った電車なのでしょうか~室内の様子は不明ですがひょっとしてパーラーカーとかの特別車なのかも知れません。stark02R02.jpg出っ歯みたいなカウキャッチャー(多分木製ですね)もインパクト充分です。日本にも見られた弓形イコライザー(アメリカではクレセント=三日月形と呼ぶらしい)のボールドウィン台車や、アーチ形の窓周りは初期のインタアーバンにはおなじみのデザインですが・・

(DAVE’s ELECTRIC RAILROADから=禁転載 stark27R.jpg こちらは一転、よくあるデザインのインタアーバンです・・・でも番号は上の電車と同じNo19=実は改造された後の姿ポールがあるのでこちらはあの出入り口のあったエンド側です。

いくらオタクの独身男達の経営といえど、オリジナルはユニークすぎて使い難い!という現場や乗客の声には勝てなかったと思われます~そりゃそうですよね。

・・・・でもディティールを細かく見ると台車こそ同じですが、トラスロッドの形も違うし、窓のサイズや形も微妙に違うようにも見えますね~Noだけ継承した別物?ってことも考えられます。何しろ海の向こうの昔のことですから正確にはわかりませんが・・・

なんて、想像や妄想を交えていろいろ与太を書いておいて、詳しいお方の突っ込み&訂正を期待してるんです・・(J様T様N様・・・よろしくです・・・。)

アメリカのインタアーバンには、ほかにも突拍子も無いデザインや設備を持ったものがたくさんありますから、追々ご紹介いたします。


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EF510-230

片運転台ということでやっと理解できました。ボンネットバスの後部非常口みたいなものだったのでしょうか?
よく考えてみると運転台の後ろのドアは高床ですので、路面区間はもっぱら後ろから乗降させていたようにも思えますが、いかがですか?

by EF510-230 (2012-02-20 17:21) 

利きゅう

奇をてらい過ぎたデザインですね!
まさに、「なんじゃこりゃ~!」です。表現が良くないですが霊柩車みたいです。戦前の名古屋市電に霊柩電車が実在したそうですが・・・扉は側面だったとか。

アーチ型の飾り窓というと、現在の近鉄南大阪線の大阪鉄道デイ形が思い浮かびます。インターアーバンではなく当初からパンタグラフだった車両ですがカウキャッチャーを取り付けたらカッコ良さそうです。
by 利きゅう (2012-02-20 21:07) 

EF510-230

阪神の喫茶店なぞおとなしいほうですね。よーく考えてみるとわが国にもこういうのがあります。近鉄スナックカーの貫通扉の外側がこのような折り戸です。
by EF510-230 (2012-02-20 23:01) 

のり

アメリカのインタアーバン恐るべし、ですね。見れば見るほど凄い電車です。奥が深い世界ですね。それにしても、この出入口には驚嘆です。
by のり (2012-02-21 00:07) 

Cedar

■EF510-230様
欧米には片運は多いのはご存知でしょう、路面電車でなく、日本なら私鉄電車クラスがループの急カーブや併用軌道を行くのがインタアーバンの魅力です。
■利きゅう様
大鉄デイやデロは明かり窓が良いですね。琴電に行ったデロに明かり窓が残っていました。
■のり様
まだまだ序の口です!変な電車がいっぱいですので乞うご期待。
by Cedar (2012-02-21 14:00) 

Cedar

★gardenwalker様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2012-02-21 15:33) 

なにわ

これは
http://www.usrail.jp/et-a-title.htm
にも、載ってませんでした。あのサイトは経営面も重視してますから。

昔の「とれいん」で読んだのですが、サウスショアーかどこかに、鋼製片運転台展望電車がおりました。
これも通常の電車に改造したそうですが。



by なにわ (2012-02-21 22:10) 

Cedar

■なにわ様
アメリカの電車は無いものは無い~っていう感じの百鬼夜行ぶりです。展望電車もそのひとつですね。
by Cedar (2012-02-21 22:43) 

Cedar

★あおたけ様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2012-02-21 23:22) 

Tad

出ましたね,オハイオの風切小僧! 手持ちの本を見たら“wooden car with parabolic front ends and folding doors across the rear end”って説明がありました。
この鉄道は交流22000Vだったそうで,売電事業もやっており,特にAlliance市内に供給していたとありますが,その火力発電所で出たシンダーをバラストに使っていた由。
また市内での路面走行は少なく,Canton市内でもわずか800m程度で,ほとんどは専用軌道だったともあります。だから写真は,その数少ない路面軌道上で撮られたもんですね。
それと,大恐慌の後も運行費用を賄うだけの収益があり,赤字に転落する前に自ら廃止したそうですから、チョンガー(韓国語ですね)揃いの経営陣は立派な仕事をしたと云えそうです。

このシリーズ,今後の展開が楽しみですよ~。
by Tad (2012-02-22 01:59) 

UZ

かなり個性的な車両ですね。
古き良きアメリカの鉄道黄金時代を感じさせられました。その後はモータリゼーションの波にのまれて廃止されてしまいますから。
by UZ (2012-02-22 06:31) 

Cedar

■Tad様
この電車と鉄道についての情報ありがとうございます~
期待通りでした(笑)。

併用軌道がそんな少ないってことは、やはり途中での乗降は踏切か、主要駅は構内が舗装されていたとか?
そうそう、昨日銀座の某パブで飲んでましたが、その店の入口ドアがこんな感じでした。
■UZ様
資本主義大国アメリカらしく、儲かると思えば作り、儲からなくなる前に廃棄する。かの地では鉄道も同じでした。黄金時代はほんの一時でしたね。
by Cedar (2012-02-22 13:23) 

Cedar

★denta60様
nice!ありがとうございます。
by Cedar (2012-02-22 15:05) 

manamana

玄関ドアに独身鉄道、いろいろあって面白いですね。
by manamana (2012-02-22 20:56) 

Cedar

■manamana様
いらいろありすぎて、ほんとかよ?って思えるのがインタアーバンです。

by Cedar (2012-02-23 06:05) 

やまびこ3

最初の写真の電車、かなり衝撃的ですね。
ドアを開けたらバーかなんかになっていそうです。
by やまびこ3 (2012-02-25 12:56) 

京葉帝都

ドイツ、オランダ、北欧などはシンプルモダンなデザインを生み出し、様々な製品に浸透しているのに対し、英国やアメリカはデザインに関しては古典的なスタイルが好まれるのですね。特に1960年代迄のアメリカは経済的なパワーをベースに極端な表現が目立つようです。Windsprinter電車の丸い先頭部には驚きました。まるで「走る灯台」ではないですか。ネットスケープのマークが灯台でしたが、パソコンのアイコンにでも甦れば楽しそうです。
by 京葉帝都 (2012-02-25 13:20) 

Tad

風切小僧の写真ではこちらもあります。これは№20ですから,少なくともこのスタイルのは2輛はあったんですね。
http://www.alliancememory.org/cdm/singleitem/collection/places/id/1146/rec/15
この写真ではシンダーのバラストを撒いたと思われる線路の状態が判りますけど,これなら乗り降りには特に苦労はなかったんじゃないですかね。

リア・ドアを開けたコチラの写真,なんかカマキリっぽい顔つきに見えます。
http://www.alliancememory.org/cdm/singleitem/collection/places/id/1145/rec/18

これは同じ鉄道の別の車輛,タワー・カーでしょうか。サイドのデザインが何ともユニークですね。
http://www.alliancememory.org/cdm/singleitem/collection/places/id/1140/rec/19
by Tad (2012-02-25 15:25) 

Cedar

■やまびこ3様
こういうデザインはまさにバーかダンスホールって感じです。パーラーカーやサロンカーなどの特別車だと思っていましたが、コメント戴いたTad様のリンクを見ると普通の座席車ですね。
■京葉帝都様
このデザインはアメリカでも異端ではないでしょうか?
しかし何のためにこんな方式をとったのか?考えれば考えるほど不思議です。
■Tad様
リンク画像ありがとうございます。後部の印象は確かに昆虫っぽいです。蟷螂にも似てますが私は甲虫(ゾウムシ=かの松井兄が最近嵌っているムシです)のようにも見えました。
最後のタワーカーの側面は開拓時代の客車に似たようなのがありますね。
by Cedar (2012-02-25 16:28) 

紅玉国光(富山市)

あはははははははははははは(笑壊^^;

半流線型端の方は、我国でも関西方面によくあった5枚窓卵形の類で、そう違和感も有りませんし、側面は京阪の貴賓車16号を思い出させるもの。それが後部(尾端)と来たら~

我国でしたら、そもそも、監督官庁がウンと言わぬでしょうな……。

追記 僭越乍ら。利きゅう様、電車の霊柩車は米国ではロスアンジェルス市内電車ことLA Railwayにあったものが有名です(静態保存でオレンヂエンパイヤーミュージアムに現存)。
by 紅玉国光(富山市) (2012-03-11 11:03) 

Cedar

■紅玉国光(富山市)様
このアングルだと解りにくいですが、流線形の先頭も単なる半円ではなく、船の舳先形でした。風切り小僧の命名はここからです。
by Cedar (2012-03-12 21:22) 

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