ダブルデッカーの香港（2002年10月）

21世紀になったばかりの頃、仕事でよく香港に行った。世界有数の慌しさを誇る（？）東京よりもさらに慌しく騒々しく、狭い土地に人があふれる香港だが、トラムだけはのんびりと走っていた。そんなトラムの9年前、2002年10月のスケッチを並べてみた。　　　　　　　　　　　　（1） （1）路面電車の良いところは、わざわざ撮影に行かなくても、すぐそこの道を走っていること～　　

泊まっていたホテルのロビーから、折り返しのループ線を通る電車が撮影出来てしまうのは、いくら香港でもいささかラッキーにすぎるけれど・・（2）

朝の飲茶に向かう道すがらにも、電車の線路が気になってしまったりする。

（3）（4）こんなごみごみした街にも、めっぽううまい飲茶の店や広東粥の店が隠れている。

（5）朝食に最適なこんな店では英語は通じ難いが、そこは度胸とスマイルで押し通す。　（6）朝から口福を味わいつつのホテルへの帰り道で、古いスタイルのトラムを見つけた。当時は全面広告塗装はまだ少なかった。

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或る日、午後から夕方まで、仕事に空き時間が出来たので、トラムの西側の終点、ケネディタウン（堅泥地域）に行ってみた。現在では香港のほかの町の例に漏れず再開発が進んでいるようだが、地下鉄も来ていないエリアのせいか、当時はいかにも場末っぽいムード、（7）

どこも人が溢れる香港なのに、街に人影が少ないのが不思議だった。

（8）（9）トラムの線路は庶民的なアパート街の一角をループで回る。

アパートの１階には小さな商店や町工場が多く、終点は鄙びた雰囲気が漂っていた。　（10・11）

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香港島の古い繁華街、トンローワン（銅鑼湾）の町並みを単線で行く支線区間は、香港名物＝道に盛大にせり出した看板と電車を一緒に撮れる絶好の場所だった。（12）（13）裏道にあるこんな食堂で、焼き鴨や叉焼を乗せたご飯など食べてから、電車道を行くトラムを撮影していると、香港気分はいやが上にも盛り上がる。　（14）

今も当時も、東京よりもドラスティックに町並みが変わっていく香港ならではのこんな風景も。（15）「唐楼」と呼ばれる古いビル、隣のビルが突然無くなると、自立が怪しい。なので、こんな「つっかい棒」が必要？

香港以外には、本家イギリスのブラックプール以外には見られない、といわれるダブルデッカートラム。狭い土地で、上に上にと伸びてきた香港に相応しい・・・と同じ東洋の町からやってきたエトランゼは思う。

（16）　　（17）

このとき、仕事を通してちょっと仲良くなった香港人から、こんな話を聞いた。　　　　（18）　　生まれたときから、狭くてやたらと上に伸びたアパートに住んで、寝るのは毎日2段ベッド、通学も通勤も2階建てのバスやトラム。結婚しても狭い部屋では、子供と夫婦が2段になってねむる。年老いてたどり着く人生の終わりの墓さえも、ロッカーみたいな積み重ね式。

これが香港庶民のダブルデッカー人生なのさ～。　（19）

 （20）

あれから、何度かこの街を訪ねている。電車は変わっていないのだが、香港の背伸びは止まらないようである。

（21＝2007年撮影）

コメント 16

いきなりハッピーバレー行きですか、シャティンもマカオも行ってみたいですが、金もヒマもありゃしない。

せめて香港の重賞ぐらい日本で売ってよ、警察がガーガー云ってくるでしょうが、外圧で突破してほしいものです。
by なにわ (2011-10-22 11:16) 

今回は文体、写真ともCOOLでカッコイイ！堅尼地城のうら寂しい光景、映画の一シーンのようです。
銅鑼湾の折り返しループ線…左に分岐し右に急カーブの円を描き、本線と直交して反対側に出てまた円を描きつつ、反対線に合流…を始めてみた時はビックリしました。
by maipenrai (2011-10-22 13:35) 

■なにわ様
ハッピーバレーも沙田も行きましたがどっちも電車の撮影でした、博才皆無なものですから～ネットで海外の馬券変えたりしないんですか？もちろん違法でしょうが。
■maipenrai様
えへへ～わかっていただき恐縮です。十三のねーちゃんのお次は少しトーンを変えてみました。
この頃は香港ノワールと呼ばれる映画に嵌っていて、仕事でも香港映画関連の人と付き合っていた時期なんでそんな雰囲気でやってみました。
香港のトラム、上環のターミナルの線路配置も面白いですね。
by Cedar (2011-10-22 20:03) 

★シュウチャン様
★hanamura様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2011-10-22 20:05) 

こんばんは
どこからかジャッキーチェンが出てきそうですね
そういえば一昨年香港に行ったのですが
トラムの記憶がないなー
by gardenwalker (2011-10-22 21:53) 

２階建ての電車がのんびり走っている姿は、
昔から変わらないのが、奇跡のようです。
初めての海外旅行で乗ったのですが、
安くて（今はどうでしょう）景色を高いところから見られ、
お気に入りの乗り物でした。
by manamana (2011-10-22 22:16) 

■gardenwalker様
このときは、ジャッキーチェンプロデュースというレストランにも行きました。健康志向のヌーベルチャイニーズとかでしたが、街のお粥やのほうが断然美味かった！
■manamana様
運賃は2010年現在2ドル（＝26円？）でした。行く度に乗りますが、ちっとも豪華になったりしないのがうれしい。

by Cedar (2011-10-22 22:27) 

★nd502様
★takechan様
★パルの大冒険様
★素人写真様
nice!ありがとうございます

by Cedar (2011-10-23 09:31) 

こんばんは
近代的なビルと2階建ての電車。
地下鉄も高速電車もLRTもある香港ですが、やはり路面電車が日っ足りですね。
シックな緑色の電車が気になりました。
by やまびこ３ (2011-10-23 18:36) 

■やまびこ３様
LRTや地下鉄、KCRの郊外線の開通と軌道系の充実が著しい香港ですがトラムも立派に共存しているのはうれしいですね。
最近は広告塗装が増えてオリジナルの緑色はほとんど見られないようです。
by Cedar (2011-10-23 23:05) 

★nexus6様
★しまりす様
nice!ありがとうございます
by Cedar (2011-10-23 23:08) 

日本のバブル崩壊の頃に広告が入らなくて、深緑の車両ばかり目立つようになったのを思い出します。
この頃はまだ手書き広告車もありましたが、今じゃみんなラッピング広告。車両は変わらずとも近代的に見えてしまう錯覚を覚えます。
香港映画と言えば、男たちの挽歌が好きで、何度も見てしまったです。あと、恋する惑星のフェｲウォンが可愛くて・・・
by line (2011-10-26 20:10) 

■line様
＞日本のバブル崩壊の頃に広告が入らなくて、深緑の車両ばかり
そうだったんですね～確かに日系企業の車体広告は多いですからね。

香港映画、この頃はホントに嵌ってました。男たちの挽歌も良いし、恋する惑星や欲望の翼のウォンカーワイ監督には本気で惚れ込みました。ヒルサイドエスカレーターやダブルデッカーも登場しています。フェイウォン～かわいいです。
by Cedar (2011-10-26 21:52) 

★boomie様
★denta60様
nice!ありがとうございます


by Cedar (2011-10-26 21:54) 

単車のダブルデッカー、時々スピードを出しすぎてカーブを曲がり切れずにドテン、ということがあるように聞いていますがどうなんでしょうか？
by EF510-230 (2011-11-18 12:06) 

■ＥＦ510-230様
電車の横転は聞いた事はありません、2階バスは時々横転してるみたいですが、香港のダブルデッカーは、台風のとき風対策で2階窓を全開にしなければいけない、という規則があるらしいです。
by Cedar (2011-11-18 16:40)